エクシード

 

「・・・グリフィン・・・?」

 

ジンジャーは姿の変わった友人にぞっとした。こんな、・・・・こんな殺気は感じたことがない。

殺気とは本来、悪意、憎しみ、怒りなどで濁っているものだ。

 

しかし、今のグリフィンには濁りがない。混じりけ泣き、純粋な殺意。

 

「・・・・・・。」

 

そして、感情がまったく感じられない。ただただ、沈黙を守っていた。

 

グリフィンの視線がケートスに向けられた。殺気も強まっている。

 

「な、なにをしたかしりませんが!!」

 

殺気に気をされながらも、ケートスは部下に指示を出す。

 

「ひるむな!!かかれ!!!」

 

周りにコウモリ猫が続々と集まってくる。

 

 

ザッ、ザッ・・・。

 

 

それに対してグリフィンは二足歩行のまま前進していく。

「危ない!!」

ジンジャーは助けに入ろうとしたが、

「・・・!!」

 

バキィ!!

 

戦闘の一匹が思いっきり殴り飛ばされた。

新たに3匹が押さえつけたが、

 

「・・・・!!!!」

 

グリフィンは強引に右腕を振って相手を投げ飛ばし、左腕も同様に、解放すると、今度は腰に組みついている一匹に両腕を組んだハンマーを浴びせ、せき込んだ敵を力一杯に蹴り飛ばした。

 

「え、ええい!!何をやっている!!相手はたった一匹だぞ!?」

 

ケートスはひどく動揺しながらも、また部下をけしかける。

「・・・・!!!!」

しかし今度は二足歩行のまま、まるでチーターのような足運びで、敵に迫り、包囲網を蹴散らした。

 

「!!!!」

 

さらに右腕を突き出し、上にあげると、まるで見えない巨大な腕に捕らえられたかのように敵が宙に浮かび、

 

「!!」

 

大きく円を描いて地面にたたき付けた。コウモリ猫たちの悲鳴やうめき声があたりを満たす。

 

「・・・・・・。」

 

グリフィンの視線が再びケートスに向けられた。

 

「お、おのれ!」

 

ケートスはまた超音波矢を使おうとした。

しかし、

 

「・・・なっ!?・・・出ない!?な、なななぜ!?」

 

ケートスは超音波をうてなくなっていた。

 

「・・・・・・!!」

 

そのすきにもグリフィンはケートスに全速力で向かっていく。

 

「ひっ!?」

 

ズガァァン!!!

 

ケートスが首をそらして、グリフィンのパンチを交わした。だが、

 

「なっ・・・!?」

 

メリ、メリメリメリ!!

 

彼の後ろにあった気がパンチの直撃を受け、

 

ドドォォォン!!!

 

真っ二つにへし折れた。

 

「ひぃぃぃぃぃ!?」

震えあがり、取り乱すケートス。

 

「・・・・・・・!!!」

グリフィンはさらにケートスをさっきと同じ力で持ち上げた。

 

「あ、あ、あ・・・!」

グリフィンがケートスにトドメを刺そうとした。が、

 

 

「グリフィン!やめるんだ!」

見ていられなくなったジンジャーは、彼に組みついていた。

 

「もういい。もういいんだ。これ以上は・・・やりすぎだ!」

ジンジャーは必死に彼を止めようとした。

 

しかし、

 

「・・・!!」

「がはっ!?」

グリフィンはケートスをまるでごみの様に堀に捨てると、邪魔だと言わんばかりの勢いで、ジンジャーを殴りとばした。

 

「グ、・・・グリ、フィン!?」

信じられなかった。ジンジャーの知るグリフィンは絶対に仲間に危害は加えない男だった。

 

 

ピシャア!!ザァーーーーーー

 

 

突如、稲光が走り、土砂降りになた。それまでは、雨など降る気配などなかったというのに。

 

「----!!!」

 

グリフィンが駆け出し、周囲のコウモリ猫を片っ端から攻撃、いや、いたぶるといったほうがいいだろう。周囲を覆う、悲鳴。甘梅雨に交じり、赤く染まる地面・・・。

 

「な、なぜだ・・・。」

 

ジンジャーは力なくつぶやいた。

 

「なぜだ・・・どうして!どうして!」

(どうして!どうして!どうして!)

「どうして、こんなことぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

ジンジャーは叫んだ。姿も、心も変わってしまった友に。

「・・・・・・。」

 

その叫びが聞こえたのか、グリフィンがこちらを向く。

 

「・・・・・・。」

 

その顔に、瞳に、心はない。ただ無表情のまま、腕を掲げる。

 

ジジジ・・・バチッバチッバチッ!!!

 

掲げた右腕がスパークし、雷電を纏う。

 

「・・・。」

 

右腕がゆっくりとこちらに向けられる。

狙いが定まると同時に光が増し、そして、・・・。