パトロール

 

 

 

「おい! スクワーレルフライト! もう朝だぞ。目を覚ませ」

 

スクワーレルフライトは目をしばたいた。目の前にクラウドテイルがいる。

 

「大丈夫か? うなされてたぞ」

「大丈夫です。少し、夢を見てただけです」

スクワーレルフライトは、体についた葉っぱを払い、のびをした。

 

「夜明けのパトロールに行くメンバーを集めてたんだ。行かないか?」

クラウドテイルがいった。

 

スクワーレルフライトはうなずき、クラウドテイルについて戦士部屋をでた。 

 

「他はだれが一緒に行くんですか?」

 

「ダストペルトとブランブルクロー、ホワイトポーだ」

 

スクワーレルフライトは苦い顔をした。

 

ブランブルクローも一緒なのか。

このごろブランブルクローとはこじれていて、話もしていない。

 

 

「早く来いよ! 早くしないと日が暮れちまうぞ!」

ダストペルトがせかした。

 

 

 

5匹は、ウィンド族との境界線をまわっていった。

妙なものを見つけたのは、ブランブルクローだった。

 

「ちょっとこれを見てください」

 

他の4匹が振り返る。

「どうした?」

ダストペルトがいった。

 

そこにあったのは、犬のフンのようなものだった。

 

「犬のフンなんじゃないか?」

クラウドテイルがいった。

「縄張りの中をうろうろしてるのか。やっかいだな」

 

「いや、これは犬のものとは違う気がしないか? 若干においが違うような…」

 

スクワーレルフライトもよく観察してみた。

見掛けは犬のものっぽいが、確かににおいが違う。なんのものだろう。

 

 

「キャンプに戻ったらファイヤスターに報告しよう」

クラウドテイルはいった。

 

「早めにもどりましょう」

 

ブランブルクローが提案したが、ダストペルトとクラウドテイルはうんと言わなかった。

 

「見回りは最後まで行った方がいい。ブランブルクロー、スクワーレルフライト、二匹で先に戻ってファイヤスターに報告していてくれ」

 

ダストペルトがブランブルクローとスクワーレルフライトを交互にみていった。

 

スクワーレルフライトは少し苦い顔をしながらもこたえた。

「わかりました。必ず報告します」

 

ブランブルクローがいった。

「じゃ、行くか。スクワーレルフライト」

 

 

二匹はもときた道を駆け足で戻っていた。

 

すると、そばでカサコソ動く獲物の音がした。

「ブランブルクロー、狩りをしちゃだめ? すぐ終わるわ」

 

ブランブルクローは振り返った。

 

「だめだ。今はファイヤスターに報告する方が先だ、スクワーレルフライト」

そういうとまた走り出したブランブルクローに、スクワーレルフライトはいらっとした。

 

少し狩りをするくらいいいだろうに! 

もうすぐ枯れ葉の季節に入り、獲物はとれなくなるのに!

 

ブランブルクローとはもう、お互いを分かり合えたころに、友だちには戻れないのだろうか。

 

 

「痛っ!」

スクワーレルフライトの足に痛みが走った。

なにかの破片を踏んだらしい。

ブランブルクローが立ち止まり、振り返る。「どうした?」

 

「何か踏んだ・・・」

足の裏を見てみた。肉球から、血が出ていた。

 

「見せてみろ」

ブランブルクローが近寄ってきて、スクワーレルフライトの足の裏をのぞきこむ。

 

「血が出てるな。キャンプに戻ったら、リーフプールに見てもらうといい。ファイヤスターにはおれから報告しておくから」

そういうと、立ち上がった。

 

 

「歩けるか?」

 

「なんとかいけると思う」

スクワーレルフライトはそういうと、足を引きずりながら歩きだした。

 

ブランブルクローも、スクワーレルフライトの歩く速度にあわせて歩いていった。