「起きろ~! スクワーレルフライト! もう朝も半分すぎたぞ」

 

スクワーレルフライトははっと目を覚ました。

 

目の前にはクラウドテイルがいる。

 

「二日連続だな、俺が起こしてやるの。おまえの体内時計壊れたんじゃないか?」

クラウドテイルが笑いながらいう。

 

スクワーレルフライトは体を起こした。

「すみません。ありがとうございました、起こしていただいて」

 

スクワーレルフライトはそういい、大あくびをした。

「今、どのくらいの時間ですか?」

 

「もう朝と正午の半分くらいだ。太陽が半分昇ってる」

 

 

「よし、おまえも起こしたし、俺はブライトハートと狩りにでも行ってくるか」

クラウドテイルが戦士部屋を出て行った。

 

スクワーレルフライトも戦士部屋を出て、恥ずかしくなった。

 

もう、見習いや他の戦士たちは働いている。寝てたのは自分だけみたいだ。

 

 

スクワーレルフライトは昨日けがをした足裏の肉球をみてもらおうと看護部屋へいった。

 

「おはよう、リーフプール。傷をみてもらいにきたんだけど…」

 

リーフプールが部屋の奥から出てきた。

「いま起きたの? 遅かったのね」

 

スクワーレルフライトはすわって、足裏を出した。

「お願いするわ。もう痛みはほとんどないけど」

 

リーフプールが足をのぞきこみ、うなずいた。

「ほんとね、もうほとんど治ってるわ。これなら、もうクモの巣は張らなくてもいいわよ」

 

スクワーレルフライトはほっとした。

 

 

「今朝、ファイヤスターに報告してきたわ、あなたの夢のこと。」

リーフプールが切り出した。

 

スクワーレルフライトは答えた。

「ファイヤスター、なんていってた?」

 

「ファイヤスターも、似たような夢を見たそうなの。戦士猫のあなたにはファイヤスターの夢は詳しく話せないけれど…。ファイヤスターは、ニコルも少し疑っているようだったわ」

 

リーフプールの言葉に、スクワーレルフライトは驚いた。

 

ファイヤスターはニコルを疑っている?

 

「でも、私の夢では黄色い目の生き物だったのよ? ニコルの目は青色よ」

スクワーレルポーの答えにリーフプールは答えた。

 

「ええ、そのことも話したわ。ファイヤスターは、わかってくれた。でも、はぐれ者のようなものだし、一応用心した方がいいんじゃないかという結論に達したの」

 

スクワーレルフライトは納得したわけではなかったが、ニコルはよそ者だ。

 

用心するのは当然のことだろう、と思い直した。

 

「繰り返しになるけど、ニコルは青い目。私はニコルじゃないと思うわ。他の可能性にも用心するべきよ」

 

スクワーレルフライトは、昨日会ったばかりの猫を何故こんなに信用しているのか少し不思議に思いながらいった。

 

たぶん、昨日はなした感じがよかったからだろう。

恋愛感情ではないが、いい友達になれそうだと思ったのは事実だ。

 

「もちろん。ファイヤスターもそういってたわ」

リーフプールがスクワーレルフライトの問いに答えた。

 

「ニコルはよそ者だものね。ファイヤスターが心配するのは当然なのよね」

 

「そうよ。ファイヤスターは一族を守ろうとしてあらゆる可能性を考えているだけよ」

 

「白い生き物が何なのかわからないのは怖いけど、今は今できることをやらなきゃね」

そういうと、スクワーレルフライトは立ち上がった。

 

「さて、私は狩りでもしてこようかな」

 

リーフプールがうなずいた。

「ええ、もうすぐ枯れ葉の季節だし、たくさんとれるといいわね」

 

スクワーレルフライトは看護部屋からでた。

 

 

すると、ブランブルクローとばったり出くわした。

足をひきずっているようだ。

 

「けがしたの?」

スクワーレルフライトはきいてみた。

 

「足をねじったんだ」

 

「そう、早く治るといいわね」

スクワーレルフライトはそういうと、キャンプの出口へ向かった。

 

ブランブルクローが何かいいたそうな顔をしていたが、あえてふりかえらず、キャンプを出た。

 

 

キャンプを出てすぐ、ネズミのにおいが鼻をついた。

スクワーレルフライトはすぐに狩る姿勢になった。じわじわと茶色いネズミがいるほうへ進み、とびかかった。

 

ネズミは逃げる間もなく捕まった。

 

「すごいな!!」

 

スクワーレルフライトはいきなりきこえた声におどろいた。

 

振り返ると、白猫のニコルがいた。スクワーレルフライトは少し照れた。

「こんなこと、たいしたことないわ」

 

「そういえば、あなたはキャンプにいなくてもよかったの?」

スクワーレルフライトはきいた。

 

捕虜なのだから、出てはいけないはずなのに。

 

ニコルはゆっくりとしっぽを振った。

「ファイヤスターに、狩りの許可をもらったんだ。昼間の外出は認められたよ、夜はだめだけど」

 

スクワーレルフライトは少し嬉しかった。

ファイヤスターは、考え直したんだろうか? 

 

「じゃあ、一緒に狩りをしない? あなたの故郷について、たくさん話もききたいし」

スクワーレルフライトがきくと、ニコルが答えた。

 

「ちょうどよかった。本当は、誰か他の戦士と一緒じゃないと出たらだめなんだ。さっきは、みんな忙しそうで頼めなかったんだよ」

 

 

一時間ほどたって、獲物は山のように取れた。

 

ニコルも、森の猫と劣らず、獲物を捕るのがうまかった。

 

「少し休憩しよう」

ニコルの提案に、スクワーレルフライトも賛成し、秋の日差しを浴びていた。 

 

ニコルがふと、変な言葉でしゃべりだした。抑揚も不思議なものだ。

 

 

「それ、何?」

 

ニコルはしゃべることをやめ、答えた。

「これは、歌っていうんだ。言葉を、メロディーにのせて歌うんだよ。ちなみに、言葉はぼくが住んでた国の言葉」

 

スクワーレルフライトは目を真ん丸くした。

「へえ。もう一度、歌ってみて」

 

ニコルは歌いだした。

 

ニコルの声は、ガラスのような目に似合う、透き通った声だった。

 

スクワーレルフライトは聞きいった。

 

歌が終わると、少し恥ずかしそうにニコルがたずねた。

「どうだった?」

 

スクワーレルフライトは、半ば放心していた。

ニコルの声にハッと我に返ると、こたえた。

 

「・・・・・・すごい! 歌というものを、はじめて聞いたわ!!」

 

ニコルは照れた。

「ありがとう。でも、恥ずかしいな」

 

スクワーレルフライトは「自信もっていいわよ! 全然!」とはっきりいった。

 

ニコルは立ち上がった。

「そろそろ、キャンプに帰ろうか。獲物も持って帰らないと」

 

スクワーレルフライトもうなずき、たちあがった。

 

 

獲物をキャンプへ運び、獲物置き場に置きながら、ニコルとはいい友達になれそうだな、とスクワーレルフライトは改めて思った。

 

そして、あの歌には本当に驚いた。

 

リーフプールにも聞いてみてと勧めてみよう。

 

 

ニコルは、所定の位置に戻っていた。

 

 

あの夢の不安は残るが、いい友達ができそうで、嬉しかった。

 

今は、その気分に浸っていたかった。