面白いこと?

 

 

(・・・というわけでありまして。あなたにちょっと力を分けたいと思うんです。)

(まあそんな大掛かりな事じゃないので。)

(キャンプを守るためなのです。 協力してほしいんです。)

 

 

 

「ふう、やっぱり部外者は歓迎されないもんだねぇ。」

4つの部族をまわり終わってサンダー族の縄張りに戻ってくる。



「においの違いがすげえな…。」

最初に行ったリヴァー族では、最初から、サンダー族の匂いがする! と一気に拒絶されたのだった。

それ以降、匂いを隠すようにしたので問題は無かったが、4つも別々に匂いがあるとなんかうんざりしてくる。

その術を解き、消していた匂いを元に戻す。
術を解き忘れて戦いのときに死にかけたこともあったので、不要な術はすぐに解くようにしている。

 

 

 

そもそも、基本的に自分に対してかなりの術を被せている。
打撃防止、魔法防止、呪術防止、誘惑防止、空腹防止、あと死亡防止。まあ数え切れないけど。
多分これらの術は更新することはあっても、絶対に解かないと思う。

 

猫股特有の"余裕"は、術でしっかり自分が守られてる という安心感からである。
多分術を何もかけていないと、ただの運動神経の良い猫である。 敵を前にしてすぐ逃げると思う。

こう考えると、自分も全然弱いなぁと思う。

 

 

 

ピクリ…

「おっ!?」


自分の髭が震える。

何か僕の好奇心をそそる前兆だ!!
こっち方面に面白いこと有り!!


吉祥はキャンプの入り口をスルーして、サニングロックスへと駆け出した。




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「風邪は治ってきたのかしら?」
「ううん。まだクラクラするよ。」
「でも、前よりはずっと良くなってるわ。」
「うん…。 ありがとう。」


吉祥は2匹の猫の会話を聞いた。

「うう・・・ リア充め。まぶしいぞ。  っと、別に人間じゃないからいいか。 じゃリア獣かしら?」
自分で心の中で”面白くないぞ。”とつっこみ、声の方へ向かう。


「いつもこうして会ってるけど、あなたはだんだん顔色も声も良くなっていくもの。」
「多分、君に会えるからだよ。 君のおかげだよ!!」
「フフッ。 嬉しいわ。」
そして大きなゴロゴロという喉の音。


「羨ましいというか、なんていうのかな~。 妬ましい。 いや違う。 もういいや。 とにかくまぶしい。」
猫股はあまり恋をしない。
身内になればなるほど自分の術を消される可能性が高いのであまり近くに自分を惑わす者を寄せ付けない。 まあ少なくとも僕の場合だけど。



「ああ… シルヴァーストリーム…。 君がいなくちゃ生きていけないよ。。。」
「ああ… グレーストライプ…。 あなたがいなくちゃ私も毎日が悲しいのよ。」

「ああ… シルヴァーストリーム、あなたはどうしてシルヴァーストリームなの?」
「…!?  どうしてって・・・  もちろん母親と父親が・・・ ってあれ?」
「僕そんなこと言ってないよ!!」
「ええ…。口が動いてないもの。でもあなたの声よ?」
「僕も聞いた。。」
ラブラブだった2匹、グレーストライプとシルヴァーストリームはキョロキョロと辺りを見回す。

「僕も言った!!」

2匹の間に入り込む吉祥


「「きっ・・・  吉祥!?」」

「えへん! 僕の声真似上手かった?」
「どうしてここに!?」
驚きと焦りの混じった声でグレーストライプが言う。
「面白いことがありそうな気がしたのよ。」
「そんな理由で邪魔しないでくれよ!!」
「はっはっはー。 若いというのは恐ろしいことだ!!  あら、シルヴァーストリームさんも。先ほどはどうも~。」
「えっ?」
「・・・。」
思わずシルヴァーストリームを見るグレーストライプ。
グレーストライプに見られて目をそらすシルヴァーストリーム。

「知り合いなの?」
「ええ。今さっき強引に知り合いになったわよ。」
「うん。強引に。」
「強引って・・・・」

さすが若い猫たち。恋に熱く燃えるのだねぇ。
あんまし邪魔しちゃいけないか。 もう邪魔したけど。

「ま、迷惑かけたから、それなりのお返しはするよん。」

吉祥はどこからか銀の横笛を取り出す。

「愛は何にも勝つんだよ。 その愛が叶えば二匹は心から愛し合う。 その愛が叶わなければ、その2匹どころかもっとの猫たちが涙を流す。  愛は戦いを止めるし、愛は何もかもを救う。」


そして吉祥は銀に光る笛を吹く。


♪~プロメテウスの雅歌より~


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プロメテウスとは火の神。

神の火を盗み、人間に与えたとされる。

彼は罰として半永久的な拷問を受けた。


でも、彼が誰かを愛していたら。

彼は山に縛られながらその誰かの事を思っていたのだろうか。

雅歌とは愛の歌の事。


プロメテウスが恋した誰かは、彼に向かってどんな愛の歌を歌ったのだろうか。

 

 

 

「一族のために戦い続ける猫たち。 愛を知ったらそれこそ何もかも捨てて、その愛を実現しようとするのだろうね。 まだ僕にはアイがなんなのか分からないね。」



木の上で吉祥は星を眺めた。

スター族様だって、というか先祖の戦士猫たちだって、だれかを愛したに違いない。



もちろん、その"だれか"は、よその部族のお相手にも当てはまるだろう。



ちなみに、あの2匹の恋は、僕的には応援したいところ。 じゃなきゃ愛の歌なんて奏でないし。
笛を吹いてる間は不干渉の術を使うから、音色でばれることはないし。
まあ、干渉できなくてもなんか恋をしたくなるのはあるかもしれないけど。

多分、僕の事を心の端に追いやって、前よりさらに愛し合ったのでしょう。。。



うぅ・・・  リア獣め。まぶしいぞ・・・。


そんなことを考えたら、ズルリと滑り、木の枝から地面に真っ逆さまに落下した。

落下地点に石が埋まっている辺り、どんなこだわりなんだろう。。。 結構痛いぜ・・・。



「きっしょ~ 寝るならキャンプの中で寝ろ って族長が言ってるよ~」

近くからファイヤハートの声がする。

 

 

「ま、僕も幸せもんなんだな。」


吉祥はキャンプの入り口を潜った。


    ※      ※      ※

「もう夜中にキャンプを抜け出すなってブルースターが言ってたよ。」
「やだ~。」

 

ふりーだむ!!w

 

吉祥に、何事にも関わろうとする って傾向が出てきました。

結構胡散臭いしw

 

あなたはどうしてシルヴァーストリームなの? はシェークスピアのロミオとジュリエットよりww

吉祥のジョークですww

 

 

プロメテウスの雅歌は、吹奏楽の曲で、鈴木英史さん作曲。

僕自身の吹奏楽コンクールの曲だったりしましたw

 

銀に光る笛 はもちろんフルートのこと。

猫吉祥は万能で羨ましいです(´・ω・`)

 

 

 

あ・・・・・・・・

 

戦いの神ってエンペドクレスじゃねえか!!!!wwwww

プロメテウスは人類に火を与えた神様wwwwwww

エンペドクレスは戦いの神様じゃなかったです・・・・w

 

修正しましたw

 

プロメテウスの雅歌とは別にエンペドクレスの愛っていう曲もあるから紛らわしい・・・・・www

 

 

プロメテウスの雅歌(がか)はyoutubeでもニコニコでも聞けます。僕の演奏した時の音源もありますよ。

エンペドクレスの愛はニコニコにしかなかったみたい。