愛する猫との別れ

 

 

サマースカイは洞窟に戻っていた。

 

さっきの草原は消え、四匹は集まっていた。

 

八匹いた猫は、四匹に減っている。

 

ウィンタースノウの大きな泣き声が静けさを破った。

 

ウィンタースノウは大粒の涙を流し、何かが吹っ切れたように泣き叫んでいる。

 

それにつられたようにスプリングフラワーも涙をこぼした。

 

そして、スプリングフラワーも大きな鳴き声をあげた。

 

フォールリーフを見ると、頭をたれて下を向いていた。

 

サマースカイは兄弟をただ見つめていたが、気づくと自分の頬にもふた筋の涙がこぼれた。

 

「なんでよっ!!」

 

ウィンタースノウが叫んだ。

 

「なんであんなことに・・・・・・」

 

「スター族の命令だなんて、ありえない!」

 

スプリングフラワーが同調する。

 

「兄さんたちは何も悪くないのに!」

 

フォールリーフも言う。

 

「こんなの、嘘だ・・・・」

 

サマースカイも付け加えた。

 

僕たちは何もすることが出来なかった。

 

もう過ぎてしまったことを悔やみ、その犯人探しをする。

 

出口のない難問に、無理やり答えをつけて。

 

いまさらどうしようもないのに、怒りはどんどんわいてくる。

 

その怒りはだれにもぶつけられないのが、一番悔しかった。

 

自分の身内が死んだのに・・・・・・

 

「どうすればいいんだろう?」

 

ついに言った。

 

「帰るしかないわ・・・・」

 

「みんなに本当のことを伝えるのよ!」

 

「兄さんたちは悪くないってことを!」

 

「そうだ!」

 

兄弟たちの声が響く。

 

「よし、帰ろう!」

 

サマースカイは涙をぬぐって叫んだ。

 

四匹は、何も言わずに洞窟を出た。

 

今はなき愛する兄弟への無罪を主張するために・・・・

 

・・・・・せめて、兄たちの愛を裏切らないようにするために。

 

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美しい夕日がゆっくりと沈み始めたころ、四匹はキャンプについた。

 

ゆっくりと入り口をくぐる。

 

一族の猫たちはグルーミングをしていて、四匹に気づいた様子はなかった。

 

「ウィンタースノウじゃないか!」

 

スノウファーの驚いた声に一族の猫たちはようやく気づいた。

 

「どうしたんだい?」 「どうやって帰ってきたの?」 「無事だったのね!」

 

「静かに!」

 

一族の声をブルースターの朗々とした声が止めた。

 

「私が話を聞く・・・・シャイニーハートと」

 

「そうしてください」

 

「あと、マリンファーも一緒に」

 

ブルースターは尻尾でマリンファーを呼んだ。

 

「さあ、族長の部屋でゆっくり話しましょう」

 

七匹は族長の部屋に移動した。

 

「さあ、話してちょうだい」

 

四匹は鋭い目線を交わした。

 

話すときがきた。

 

愛する兄弟たちの真実を話すときが。

 

そして、一族の過ちをしらせるときが。

 

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あと少しでラストです!!

 

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