猫又

ズズズズズ・・・。

ここは、神聖なる場所。かつて、ハイストーンズと呼ばれた場所である。

その入り口、母なる口のが地面に落とす影から、何かが二つ、現れた。

「ここがハイストーンズ、・・・ふ~ん確かにパワースポットねぇ…。大分弱ってるけど。」

一匹は雌。更新者が移住し、力を失いつつある今場所に少し興味をもったものの、それはどうやら一瞬だけだったようだ。

「なんでもいい。目的のものを回収するぞ。」

もう一匹の大柄の雄…。彼の背には大きな二枚羽。そう、彼の名はプロメテオ否、今はファントム四天王が一人、ナイトと呼ぶべきだろう。その体にはかつてはなかった白骨の鎧が加わっている。

そしてもう一匹の雌猫こそ四天王の紅一点、クイーンである。彼らが来た目的、それは、


最深部、いまだ輝きを失わぬそれはあった。―月の石

「これか。この下に、あるんだな?」

「そうよぉん?スター族は彼らのために用意したみたいだけど、残念ね。」

「有効活用させてもらうぞ。我らファントムのために・・・・ハァ!!」

プロメテオは腕から熱線を放って岩を吹き飛ばした。そしてその中からは・・・。

「・・・なんだこれは?本当に役にたつのか?」

中から銃のようにデカイ金色のカギと、普通サイズのベルが出てきた。

「おばかねぇ、これはすごいわよ!!きっとここがパワーを保ってたのもこれのせいね。」

クイーンが尻尾に引っかけたベルを興奮したまなざしで見つめる。


「・・・まあいい。とりあえず任務完了だ。」

プロメテオは半ばあきれ気味にクイーンを一瞥した後、キーをかつぐ。

「さて、これをあの『お方』に献上して、あとは、・・・ルークちゃんとビショップちゃんがうまくやってくれるでしょ。」

二つの影が闇に溶け、消えていった。誰も知らない、闇の中で起きたことだった。


ファイアスターは混乱していた。いきなりアナグマに襲われそうになって、いきなり戦友二人が現れて、そして今は…。

「なぜだ!?なぜお前が生きている!?お前は死んだはずだ!!」

今、彼の前には二度と再会したくなかった猫、ベスト5に入るだろう猫がいる。しかもかつて死んだところをこの目で見た猫が。

「ハァ、その反応にはいい加減あきたな。もっと面白いことは言えないのか?」

ファイアスターの半ば怒声交じりの問いにクラッシュテイルはあくびをしながら返した。

「俺も最初は驚きましたよ。まさか三人目があなただったなんて。」

ジンジャーが続ける。

「答えろ!!お前は死んだんだぞ!?なぜここにいる!?」

「フンッ、どうせ言っても信じられんだろ?確かに俺は死んださ。そして息帰った。…スター族のおかげでな。」

「スター族が?そんなばかな!!」

ファイアスターはほぼパニックに陥っていた。

「だいたい、グリフィンにジンジャー!!お前たちも何なんだ!?その新しい二匹は誰だ!?なんでまたここに来たんだ!?」

「落ち着け!!…俺らがここに来た理由、それは・・・。おっ!」

グリフィンが何かに気づいたように頭上を見上げる。

「ナイスタイミング。ご到着だ。」

グリフィンにつられてサンダー族のメンツも上を見上げる。


ヒュロロロロ~~

何やら、蛍のように小さな光がおちてきた。

「??」


ドッパッーーン!!


「「「「うわぉ!?」」」」

光がはじけるとともに、なぜかサンダー族のメンツだけが、ズッコケてしまった。
そしてその白煙の中から・・・。

「部族なう。」

また懐かしい、一匹の黒猫が姿を現したのだった。