2 怪しい影

ファイアハートは何の音もしない暗い森の中に立っていた。

 

「ここはどこなんだ。。。。」

 

少なくともサンダー族の縄張りではないだろう。

 

あたりから静けさを破るように周りから唸り声が聞こえる、、、、

「だっだれだ!!で、出て来い!!」

ファイアハートは地面に爪を立てて毛を逆立てた。

恐怖のあまり足が震えている。

 

あらゆる茂みからいくつもの唸り声が1匹、2匹と増えていく。

茂みががさがさと動き一歩一歩、ファイアハートにちかずいてくる。

ファイアハートは後ろに後ずさり戦う体制をとった。

こんな数一人で戦えるほど自分は強くないが、

今は自分の身を守らなくては、、、!

 

 

『支配下は、、、、、われら、、、!、、のもとに従え!!!』

 

 

一匹が聞き取れないくらい小さい声で囁く。(ささやく)

その声に続き、ほかのものたちも繰り返して囁く。

 

『支配下は、、、われら、、、!!、、、のもとに従え!!!』

 

囁きは次第にファイアハートにちかずいてくる。

「なんなんだ!!やめてくれ!!!!」

ファイアハートは我武者羅(がむしゃら)に相手を引っかこうと

前足を振った。

しかし相手は次第にちかずいてくる。

 

そして、相手の囁きと一緒に猫の叫び声が聞こえ

ファイアハートの鼻に血のようなすっぱいにおいが入ってきた。

ふと、下に目をやると足が赤く染まっている。

「血、、、、?!」

相手の足元からも大量の血が湧き出し、

ファイアハートの足元へ流れ込んでたまっていく。

 

そして猫の叫び声が大きくなり相手の囁きは聞こえなくなった。

 

「鉤爪のない悪魔が一族を襲う」

 

スポッティドリーフの声と甘いにおいが一瞬だけすると

また、すっぱい血のにおいが鼻に入った。

「鉤爪のないものって!!??悪魔って!!??」

森が目の前から消えて血がファイアハートを飲み込む。

 

「助けて!!スポッティドリーフ!!!!!!!!!」

 

そして、ファイアハートの目の前が赤くなり何も見えなくなった。

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!,,,,,」

 

ゆっくり目を開けるとサンドストームが心配そうに

ファイアハートを見ている。

「大丈夫??ものすごく唸ってたけど、、?」

「ああ、ちょっと悪い夢を見ただけ、、」

ファイアハートは心の中で”ちょっとじゃなくてものすごく”と

付け足した。

「そう、、じゃあ私はもう一眠りする、、、わね」

そういうとサンドストームはあくびをしてまた丸くなった。

 

今日の夢のことを明日イエローファングに相談しないと、、、

あとブルースターにも、、、

なんだか、一族にものすごく悪いことが起こる気がする。。。。

 

ファイアハートはサンドストームの隣で同じように丸くなり

目を閉じた、、。

 

 

『支配下は、、、われら、、、、、のもとに従え』

 

その言葉を心の中で繰り返しファイアハートは眠りに付いた。