刃、再臨
ザシュリッ!!
光刃が敵を切り裂き、灰に変えた。
「やぁ!!」
ペガサスは今、右腕に装着したブレスレットのダイヤ部分を中心に発生させた光の剣で敵と戦っている。
「はぁ!ふん!はぁ!」
近くではベリッシーさんが右手首から発生させた水の鞭で敵を打っている。
(グリフィンさん達や師匠も居ないのに…。)
師匠はさっき狩りに行ってしまった。いちよう彼ら三匹の地獄のような訓練でペガサス自身も強くなったが、実戦は始めてだ。
それに数が多い。
「師匠がいればすぐかたずくのに・・・。」
ペガサスは翼を広げて飛翔する。
(光を、形に・・・!)
すると、剣を形成していた刃が二つに割れ、移動していく。
やがてそれは光の弓になっていた。
「アロー、ストライク!!」
掛け声とともに左のブレスを弓に反応させ、エネルギーの弦を引く。
ドシュ!ドシュ!ドシュ!
百発百中。矢はうちもらしなく、一撃で敵を葬っていた。
しかし、彼にとってはこれが初陣。
“安全な位置から攻撃している“それが油断だった。
「っ!!ペガサス君!あぶない!!」
ベリッシーが叫ぶも時すでに遅し。敵の一体が仲間を踏み台に飛び上がってきたのだ。慌ててかわそうとするも間に合わず、地面に落とされてしまう。
「いたた・・・。」
幸いにも組みついた一匹がクッション変わりになってくれたようだ。しかし彼は敵の真っ只中に落ちてしまった。
「くそっ!」
すぐさま両腕にそれぞれ、光の剣とダガーを形成し、迎え撃つがやはり分が悪い。
敵の一匹の地面に叩き伏せられてしまった。
「ペガサス君!!」
鞭から氷のサーベルに獲物を変えたベリッシーが助けに入ろうとするも、彼女も実戦は初めて。敵の数に阻まれ、身を守るのがやっとだ。
ペガサスに止めが刺されようとした。
が、
「狩りから帰ったらなんだ?早速出番か?」
突如、嬉しそうともつまらなそうともとれない声が聞こえてきた。
「師匠!!」
「クラッシュテイルさん!!」
声の方向には先ほどの言葉を通りの顔をしたクラッシュテイルが立っていた。
「ふんっ、・・・またせたな。」
くわえていたウサギを地面に置き、戦闘モードに入る。
尻尾の刃に手をのせ、刀身をなぞる。すると右手から矢じり状の光線が手裏剣のように飛んで行き、ペガサスたちに組みついていた相手をけん制する。
「フゥ・・・はぁ!!」
クラッシュテイルは後ろ足で立つと、だるそうに首をポキッっとまわす。
それだけで敵は目標をクラッシュテイルに変更した。何匹もがそっちにむかう。
「ふぅん・・・。」
クラッシュテイルは自分を包囲した相手を見まわした後、自身の鉤爪に赤い光をまとわせ、光のクローを形成する。
二体のファントムが彼に襲いかかる。クラッシュテイルは正面の敵のパンチをするりとかわし、喉元に光刃をつき付ける。
伝わる熱がアーマーからのぞく毛を焦がした。しかし彼は刃を返す。視覚から襲いかかろうとした敵につき付け、驚いてつんのめりになった相手をけりつける。
今度はさっきの相手に向き合い、回し蹴りを浴びせる。隙を逃さずクローをつきたてる。
蹴られた相手が起き上がるが、今度は尻尾の刃からハサミ状の刃が発生し、がっちりはさむ。
「くらえ!」
はさんだ相手をそのまま敵が固まっているところに放り投げ、ぶつける。
「トドメだ!!」
クラッシュテイルが反転すると、尻尾の刃の軌道に沿って巨大な三日月状の刃が現れた。
それは一直線に敵に進んでいき、まとめて灰化させる。
一方の二匹もケリをつけようとしていた。
「ラピット・レイ!!」
ペガサスの左ブレスから金色の楔形光弾が連射され、周囲の敵を一掃する。
「ブリザード・ショット!」
ベリッシーも猛吹雪を腕から発して敵を氷漬けにし、鞭で砕いた。
戦闘終了だ。
「師匠、遅いですよ!」
ペガサスが文句を言う。
「まあ、そう怒るな。しんうちは遅れて登場・・・らしいぜ?」
「それ、グリフィンさんの言葉ですわね…。」
「ああ、・・・そうだが?」
「いや、そうだがって・・・。」
「そんなことはいい。さっさと合流するぞ。」
クラッシュテイルはウサギを拾うと、森に入って行った。