第二章 風の守護者

 

 

涙も枯れた。あの時あの場所から私の「時」は止まっているの。今の時代はいいわね、死にたいときに死ねるから・・・。

 

 

 

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その猫は言った。虚空を見つめながら。何かを嘆くように。

 

 

 

「愛する人を失ったわ。世界も、全て。もう何もいらないのだけど。」

 

 

 

銀の毛並みに光を浴びキラキラと輝いている。涼しい風に髭をそよがせ、それでもまだ悲しげな、虚ろな目をして何もない空を見つめている・・。

 

「ねえ。あなたがわたしを殺してくれる?ねえ、あなたが私を迎えに来てくれたの。」

 

ラビットポーは何も言わずかぶりを振る。

 

 

 

「ああ。もうなにもないわ・・・。レッドレイン・・・。ソウルビートっ!」

 

悲惨な鳴き声を上げて、うずくまるその猫をラビットポーは見ていられなかった。

 

「あのっ!行くところがないなら、私が居場所を作ってあげます!お願いだから、そんな簡単に・・・。」

 

その猫は少しだけ顔をあげて、悲しみに沈んだ深紅の瞳に光を灯らせ、儚く笑った。その様は花のようで少しさみしげだった。軽やかな身のこなしで岩から降り立ったその猫はこの世に天使がいるならこんな感じだろうという美しさを持った銀の猫だった。

 

「わたしはシ・・ウィンディ。貴方を信じるわ。」

 

だがその目は獲物を見るかのような鋭い眼差しで、胸がチクリと痛んだ・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャンプに行くまでの道。ウィンディは一言も話さなかった。背後からこの美しい雌猫に襲われたらっと胸をヒヤヒヤさせながら、キャンプへ向かった。普段はありえないほど短く感じる道のりが長く、果てしなく感じた。

 

 

 

≪アホだなア。まだ生きてるのカ。この死にぞこないガ!≫

 

 

 

「!」

 

はっとして振り返るがそこには何もなくて、トンボと不思議そうに首を傾げるウィンディだけだった。

 

 

 

≪ハハッ。わかるのカ?俺のことガ?じゃあヤメトキナ。そいつは裏切りモノダ。おまえラでいう一族、一つ滅ボシタ。やめときナ、あんたたちがアブナイゼ。≫

 

 

 

「うるさいっっ!」

 

とっさに鉤爪を出して、声のしたほうへ襲いかかる。が、そこにはおびえきったウィンディととっさに逃げるハタネズミしかいなかった。

 

なんなの、一体。あれはなに?幻聴?

 

 

 

≪幻聴たあひどいナア。おりゃあここにイルサ。まあ幽霊だけどナ。とにかくソイツは信用するナ。うっかり、手当なんてさせてミロ・・悲惨なことになるゼエ≫

 

 

 

薄気味悪い笑い声と、赤い残像を残して声は去った。

 

 

 

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「!!ラビットポー?いったい今までどこに・・・その猫は?」

 

 

 

ファイヤスターの驚いた声が聞こえる。族長はハイロックの上に立っている。

 

どうやら集会中だったようだ。運が悪い・・・そこまで行くわずかの道のりがとてつもなく長く感じる。仲間たちの視線が胸に刺さる。みんなの眼差しは心配していた眼差しでも、怒っている眼差しでもなかったが、なぜかとても窮屈に感じた。やっとのことで(気持ち的に)ハイロックにたどり着いたラビットポーは目の前の光景に頭が真っ白になった。血だまりが一つあり、もうひとつは水、ではなく薬草を溶かした水が広がっている。

 

どちらもの真中にしょうが色の塊が二つ。否、二匹。

 

 

 

「い、い、いや。いやああああああああああああああ。」

 

自分の悲鳴が森に木霊して獲物が逃げる音が聞こえる。が、誰も咎めなかった。咎めることなどできるはずもなかった。

 

「なんでっ!なんでなのよっ!答えてよ誰かあああああああああ!!!」

 

目の前にある美しい、今は亡き猫は・・・サンドストームと、誰よりも優しかったゴールデンフラワーだったのだから。

 

 

 

 

 

ほとんどぼやけて何も見えなかったが、うっすら見えたのは端の方でこの場の誰よりも大きな鳴き声を上げているスクワーレルポーと、シンダーペルトに寄り添って眠るかのように目を閉じているリーフポー。それに沿うように悲しさに目を潤ませながらも堂々としたブランブルクローがいた。

 

 

 

≪あーア。残念だナア、そいつがいたからサ。そいつの気配を感じてアイツが来たんだろうナア。だからやめておけと言ったノニ。聞かないからサア・・。≫

 

 

 

気がつけば目の前にぼんやりとした赤い猫が浮かんでいた。浮かんでいることに疑問を感じないでもなかったが、今はどうでもよかった。今、私は最愛の指導者を失ったのだから。

 

「あなた誰?失せて、私の前から消えて・・・。」

 

蚊の鳴くような声だったと思う。聞こえたかしら、早く居なくなればいいのに・・・。希望して見上げた先には蔑むように笑う赤猫の姿があった。

 

 

 

≪俺はレッドポーさア。そいつの昔馴染みなんだア。俺も今のお前みたいに大切な物を失ったノサ。悲惨だナア。だから言ったノニ・・・。≫

 

 

 

そう言って赤猫、レッドポーは姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あはっww詰め込みすぎましたね・・。というか、文章力ないにもほどがあるっていうか・・・。

 

わっけわからんって感じになってますけど、まあ気にせず、気にせず。

 

粘り強く、無茶苦茶に頑張っていきたいと思います。