鎮魂歌

キャンプに悲惨な鳴き声が響き渡る。周りの木々もそれに呼応するようにざわめき、今は亡き戦士達に贈る、鎮魂歌(レクイエム)となった。

 

 

 

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キャンプに戻ってきたサンドストームは一瞬、来る場所を間違えたかのように戸惑い、一歩、二歩と後ろに下がった。

 

「おい・・・。サンドストーム。」

 

あまりにも下がりすぎたのか、グレーストライプに当たり、恐怖と希望を込めてみつめたが、帰ってきた眼差しはあまりに絶望的だった・・。

 

キャンプは荒れ果てていた。戦いの音はしなかった。気配も。だが、キャンプは荒れ果てていた。何も変わらぬように見えた。だが猫たちの仲間たちの心が廃れているのがわかった。その中で最もわかりやすかったのは、ゴールデンフラワーだ。狂気に囚われたように、叫び続け、隣で抑えている息子のブランブルクローさえも攻撃している。その瞳には狂気が宿っており、憎悪と恨みのみの宿った目でサンドストームを見ていた。もはや、それはゴールデンフラワーでは無かった。あの優しかった雌猫は消え、狂気に侵された哀れな雌猫となり果てていた。

 

「ねえ・・。シンダーペルト。ファイヤスター・・・。」

 

希望を込めて聞いた。だがシンダーペルトはかぶりを振り、ファイヤスターは何も言わず歩き去った。ゴールデンフラワーにとって私たちはもう仲間じゃない・・。殺すべきてきなのだ。

 

「何があったの?ゴールデンフラワーに。」

 

歩き去ろうとするファイヤスターを呼びとめ、聞く。悲しげな、他の猫たちと同じ絶望の瞳をした族長は立ち止まってはあ、と息を吐きその場に座った。

 

「いいかい。君がもう一時間はやく帰ってきていれば、戦力は増えていたんだ・・・。」

 

「!まさかっ・・・。」「ちがうっ!ほかの部族は関係ない!」

 

聞いたことのないくらい鋭い声でピシャリと言われ、一瞬ひるんだが素直に続きを聞くことにした。

 

「君がいない間に何があったか?見たらわかるだろう。ゴールデンフラワーは呪われ、ほかのみんなは生気を吸い取られた。。。」

 

「そんなことがあるはずないわっ!」

 

どうしても信じられなかった。。。ありえない、そんな非現実的なことがあるものなの?

 

横からさっと尻尾でなだめる様に肩をなでられて、困惑した目でシンダーペルトを見据えると、

 

「ええ。『彼』は確かにそう言ったわ。」

 

目の前が真っ白になった。何も言えない・・・。言う気がしない。まずこの状況さえよみこめない・・。

 

固まるサンドストームをよそにファイヤスターは話し続ける。

 

「『彼』はソニックムーンと名乗った。猫も『二本足』も殺してやる、もう何もこの世には必要ないと言っていた。ゴールデンフラワーはそいつの話を否定した。そしたらあいつは、薄気味悪く笑って・・・。」

 

そこまで言うと深呼吸してまっすぐにサンドストームを見据えた。

 

「消えた。消えたんだ。だがその瞬間ゴールデンフラワーが狂いだした。周りを傷つけ、息子を傷付けた・・・。」

 

ただ話しているだけなのにひどく息苦しそうで、除所に青ざめていった。

 

「そしたらアイツが現れた。現れたあいつは可笑しな術を使ったんだ・・・。急に周りが真っ暗になって・・・。気づいたらみんなが虚ろな目をして虚空を見てた・・・。」

 

グルリと周りを見渡して、いまだキャンプのど真中で空を茫然と見つめる娘の・・・、スクワーレルポーの姿が見えた。

 

「君を迎えに行った猫・・・。ミルキーシャイン、グレーストライプ、シンダーペルト、ホワイトポー、クラウドテイル、ブライトハートそして俺。以外の仲間はみんなあんな感じだ。後で戦士部屋に行ってみるといい・・。」

 

それだけ言ってとぼとぼと、ハイロックの下の自分の部屋へ戻って行った。追いかけようとしたがそれは不可能だった・・・。

 

サンドストームは知る由もなかった、これが夫との最後の会話となろうとは。

 

 

 

それは突然だった。ブランブルクローの呪縛から解き放たれたゴールデンフラワーがまっすぐこちらへ向かってきたのだ。それも鉤爪を出して。サンドストームをしとめんとゴールデンフラワーが跳躍すると、それを合図にするかのようにキャンプ内の看護猫を除く全ての猫がサンドストーム目がけて跳躍した。

 

「逃げてっ!!!!」

 

 

 

これがシンダーペルトの聞いたサンドストーム最後の言葉だった。

 

 

 

永遠にも近い時がたち、仲間たちの瞳に光が宿ったころ皆の輪の中心には力尽きたサンドストームと、狂気に支配され自壊したゴールデンフラワー・・・。二匹の勇ましき戦士の亡きがらがあった。

 

 

 

 

 

 

 

だれも覚えていなかった。なぜ目の前の二匹は亡くなっているのか。自分はなぜ、血に塗れているのか。ファイヤスターのみが己のしたことの重大さに気付き悲惨な鳴き声を上げた・・・・・。それに反応してか、皆が鳴き出しキャンプには勇ましき戦士と哀れな戦士へ送る鎮魂歌が悲しく響いていた。

 

 

 

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この日、サンダー族の森には二度悲劇の鳴き声が響いた。

 

 

 

影は這う。響いてくる悲劇の鳴き声を聞き嬉しげに顔を歪ませながら。

 

影は這う。悲しき重荷を下ろす場所を求めて。

 

影は這う。悲劇の過去を忘れるために。

 

 

 

 

 

影は這う。愛しき人を殺すため。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鵺です。駄目ですね・・・、文章力無いにも程がある・・・ww

 

今回は全体的に暗い感じです。もう端的になりすぎて省いちゃいけない部分省いちゃった気が・・・www

 

ここからはもっと本題に近づけていこうと思ってます!(おもってるだけww)

 

では、また~