プロローグ
サンダー族の族長ブルースターは、夜空に瞬く無数の星を見つめていた。
きっと、あのきらめく銀河の中にはライオンハートやレッドテイル、スポッティドリーフやイエローファングがいるのでしょうね。
今夜もまた、新たにスター族に召されたものがいる。それもまだ幼い見習い。
その見習いとは、トーニーポー。あの裏切り者、タイガースターと寛大なゴールデンフラワーの娘。
しかも、トーニーポーを殺したのは弟のブランブルポー。ファイヤハートがキチンと訓練したはずなのに。
ブルースターが輝きを増してきた銀河を見つめていると、看護猫のシンダーペルトが足を引きずって早足でこっちへやってきた。
「マリンファーの子が生まれました、ブルースター。雄と雌が二匹ずつです」
「それはよかったわね。マリンファーは元気なんでしょう?」
「・・・・・・」
「え、あ、はい。ブルースター」
しばらく重い沈黙があった。
「シンダーペルト、私に何か隠し事してるわね?
「・・・・・・」
「すみません、ブルースター。実はついさっき、スター族からお告げがあったんです」
「続けて」
シンダーペルトは青い目に不安そうな色を浮かべてこちらをじっと見ている。話していいか迷っているようだ。
「そ、そのう、スター族の皆さんは言ったんです。これからサンダー族は暗雲に覆われるであろう。しかし、4つの季節を探せば」
シンダーペルトはそこで言葉を切った。シンダーペルトは絶望しきった顔をしている。まるで、ブルースターに見えない恐ろしい何かがこの看護猫には見えてるようだ。
「すばらしい夜明けを迎えられる。そして暗雲は消え去る、と」
ブルースターの首の後ろの毛が逆立った。ただでさえタイガースターとブランブルポーのことで困っているのに・・・
ああ、スター族さま。これから私はどう一族を指揮すればいいのですか?私に何を望まれているのですか?
輝く銀河にそう問いかけても、答えは帰ってこなかった。