暗い過去

 

 

 

「あにきぃ~侵入者発見!!」

 

 

 

マッディストリームのテキトーな声が洞窟に響きわたる。

 

 

 

フォールリーフは茶色い毛を逆立ててあたりを見回した。

 

 

 

「うそ付けっ」

 

 

 

「来るわけねーよ」

 

 

 

「フン、お前なんかを信用してやるか」

 

 

 

「ほんとですよ~あ・に・き・ぃ」

 

 

 

「知るかっ!」

 

 

 

ん?なんかおかしい。

 

 

 

姉を連れ去った凶悪犯が仲間割れしている?

 

 

 

こいつら、実はよわっちい?

 

 

 

「だ・か・ら、こっちですよ、あにきぃ~」

 

 

 

「お、ほんとにいるぜ」

 

 

 

驚いて振り返ると凶悪犯四匹がこっちにやってきた。

 

 

 

「何のようだ?」

 

 

 

恐ろしく冷たい青い目をした黒いトラ猫、ダークライトニングが横柄に言った。

 

 

 

「何しにきたか分かっているだろう?」

 

 

 

サマースカイが冷静に言った。

 

 

 

「私の大好きな姉を返してっ」

 

 

 

スプリングフラワーも必死に言った。

 

 

 

「うるせー、黙れ」

 

 

 

紫色の尻尾を持つポイズンテイルが冷たく言った。

 

 

 

「お前たちが何しに来たかぐらい、分かっている」

 

 

 

顔に左から右にかけて長い傷跡がある黒猫、シャドウクローが見下したように付け加える。

 

 

 

「やっぱりすぐ見つかるって言ったじゃないですか~」

 

 

 

鮮やかな緑の目をした茶色いトラ猫、マッディストリームが穏やかに言った。

 

 

 

フォールリーフはこの四匹を見て、恐ろしいと思わずにはいられなかった。

 

 

 

全員、猫であることに変わりはないが、その瞳はスター族の光さえも届かないような闇に包まれている。

 

 

 

「ウィンタースノウを返してもらう」

 

 

 

「いざとなったら戦ってやるわっ」

 

 

 

隣で二匹が怒りで毛を逆立てているのにかかわらず、相手は冷静な態度を崩さない。

 

 

 

さっき笑顔だったマッディストリームまでも緑の目に異様なほどの憎しみがこめられている。

 

 

 

「戦いはなし」

 

 

 

ダークライトニングが言った。

 

 

 

「ウィンタースノウは返してやる」

 

 

 

ダークライトニングが尻尾を振ると、ポイズンテイルが牢屋に入っていき、ウィンタースノウをつれてきた。

 

 

 

姉は真っ先にスプリングフラワーのもとに行き、嬉しそうに鳴いた。

 

 

 

「何で君たちはサンダー族だけにひどいことをするんだ?」

 

 

 

フォールリーフは思い切って聞いてみた。

 

 

 

四匹は顔を見合わせ、三匹がうなずくとダークライトニングが一歩進み出て話し出した。

 

 

 

「お前たちは聞いてないだろうが」

 

 

 

「俺たちはサンダー族の生まれだ」

 

 

 

四匹は驚いて顔を見合わせた。

 

 

 

自分たちが生まれる前のことだろうか?

 

 

 

長老たちからはそんなこと聞いたことがない。

 

 

 

「親は誰だかわかるか?」

 

 

 

四息はそろって首を振る。

 

 

 

「知っているわけがないよな。お偉いブルースターや長老は、俺たちのことを誰にも話さなかっただろう」

 

 

 

「俺たちの母親はマリンファーだ」

 

 

 

「え?」

 

 

 

ウィンタースノウが思わず声を漏らした。

 

 

 

「・・・ということは・・・父親は・・・」

 

 

 

「そうだ、シャイニーハートだ」

 

 

 

フォールリーフは目を丸くした。

 

 

 

こいつらは、自分たちと同じ親を持っている。

 

 

 

・・・・すなわち、兄弟。

 

 

 

「なんで・・・?どうして?」

 

 

 

サマースカイは困惑しきっている。

 

 

 

「俺たちは生まれながら最狂の兄弟といわれた。その当時の看護猫―シンダーペルト―のもとにお告げが降りた。『闇の四兄弟をキャンプにおいてはならない。光をもたらす四兄弟が訪れるまでこの森は呪われる』と」

 

 

 

「そうして族長の命令により、俺たちは生後六ヶ月で追放された。タイガースターの起こした謀反により、一族は混乱していたからな」

 

 

 

「俺たちは浮浪猫さながらの生活を送った。

 

だが、あるときシャドウ族の縄張りでタイガースターに見つかってしまった。サンダー族に追放された、と聞くなりタイガースターは俺たちを保護し、助けてくれた」

 

 

 

「そして俺たちは別れ、「別々の生活」を送っていたが、二ヶ月くらい前にタイガースターから招集がかかった。サンダー族を滅ぼせ、と」

 

 

 

「それが理由?」

 

 

 

ウィンタースノウが聞いた。

 

 

 

「だが、もうそんなのはいい」

 

 

 

「お前たちを殺す。永遠にスター族の仲間入りをするまで」

 

 

 

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ついに最終章に突入しました^^

 

 

 

皆さんと比べてラストが早いと思います・・

 

 

 

これからもよろしくお願いします!

 

 

 

次からは登場猫の詳しい説明をつけたいと思いますのでお楽しみに!