スプリングポーの苦悩
「・・・・・シンダーペルト。こっちへきなさい」
「・・・・・はい。イエローファング」
「いいかい、お前はもう、スター族の仲間になるんだ。つらいだろうけど、その運命は変えられない」
「わかっています。イエローファング。でも
・・・・・あのう・・・・スプリングポーにあのことだけは伝えておきたいんです・・あとちょっとだけ・・向こうにいさせてください!!」
「・・・・・・・・・・・・・・わかったよ
。でも、長くはいれないよ」
「ありがとうございます」
「さあ。早くおいき」
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スプリングポーは不安になりながら曇り空を見上げた。
ああ、シンダーペルト。どうか無事でいてください!
昨日の悲惨な光景が頭のなかをぐるぐる回る
。
強風と雷雨で破壊されるキャンプ、一族のみんなのおびえた顔。
そしてシンダーペルトのあの耳をふさぎたくなるような悲鳴。
もう待っていられない!!
シンダーペルトが無事なのか確かめたい!!
スプリングポーはブルースターを探しにサニングロックスの小石の間をずんずん進んでいった。
「ブルースター!!ちょっといいですか?」
「なに、スプリングポー?」
「シンダーペルトを探しにいきたいんですが、いいですか?」
「だめよ。まだ危険だわ。それに、シンダーペルトは生きていない」
スプリングポーの怒りが爆発した。
「ふざけないでください!族長は、シンダーペルトが心配じゃないんですか?」
不安と苛立ちで口調がぶっきらぼうになる。
「もちろん、心配よ。でも、もうシンダーペルトは生きていないわ。絶対」
ブルースターは冷ややかに言い返した。
「もういいです!あたしだけで探しにいきますから!!」
スプリングポーは誰の返事も待たずに駆け出した。
なんなの?ブルースターは。もう、シンダーペルトは生きていないって?絶対生きてる!
シンダーペルト、絶対見つけますから!!
ちょうどキャンプの入り口に着いたとき、誰かの足音が聞こえた。
びっくりして振り向くと、姉のウィンターポーとスノウファーが出てきた。
「お姉ちゃん!何でいるの?」
「あなたたちの会話が聞こえちゃって・・・その・・・私も探すの手伝うわ」
「生きていようと死んでいようと、一族の仲間には変わりはない。ぜひ手伝わせてくれ」
姉の言葉にスノウファーが付け足した。
「ありがとうございます。あたしはこっちを探しますから、そっちをお願いします」
スノウファーとウィンターポーは返事代わりに尻尾を振ると、めちゃくちゃになったキャンプに入っていった。
スプリングポーは恐怖で足が震えていたが、
無理やり一歩踏み出した。
「なんてことを!スター族さま!」
キャンプは破壊されている・・・
木々はなぎ倒され、部屋はめちゃくちゃ。
シダもコケもばらばらで、敵から身を守れそうにもない。
あたりに残っているのは一族のおびえたにおいだけだ。
「シンダーペルト、いますかぁ?」
だが、誰の返事もない。
木がたくさん折れすぎていて、永遠に指導者を見つけられないのかと思い始めた。
スプリングポーはシンダーペルトのかすかなにおいを頼りに一本の木にたどり着いた。
「シンダーペルト?」
「シンダーペルト、いらっしゃいますか?」
すると見慣れた灰色の毛が見えた。
スプリングポーが必死に土を掘り起こすと
シンダーペルトの体が現れた。
「シンダーペルト!無事だったんですね!」
「スプリングポー・・・あなたが来てくれるって・・・私は信じていたわ・・・」
「待っててください、今助けを呼んできますから!」
「待ちなさい・・・スター族さまが・・・今ちょっと待っていてくれているの・・・」
だが、スプリングポーにその言葉は聞こえていなかった。早く助けなきゃ!
そう思っているのに、なぜか体が動かない。
でもやっぱり、シンダーペルトのいうことは聞かなくちゃ・・・でも・・そしたらシンダーペルトが・・・
「スター族へいく前に・・・あなたに言っておきたいことがあるの・・・」
「喋らないでください。シンダーペルト。なんてことを言うんです?スター族のもとには行かせません」
スプリングポーはわざと強気な口調で言った
。
だがシンダーペルトは喋り続けた。
「あなたが生まれた日・・・私のもとにお告げがおりた・・・それは不幸を意味するお告げだった・・・でも、解決策を教えてくださった・・・」
「シンダーペルト・・・」
スプリングポーは、もうこれが指導者の最後の言葉だとわかった。
「『四つの季節がサンダー族を救う』と、スター族はおっしゃった・・・・・・・・」
「あなたは、ほかの兄弟と協力して・・・」
「これからの試練に立ち向かいなさい・・」
もう終わりかと思ったが、指導者の話はまだ終わっていなかった。
「スプリングポー・・・」
「あなたは・・・」
「きっとすばらしい看護猫になるわ・・・」
「いつかまた・・・」
「スター族のもとで会いましょう・・・」
「いやです!シンダーペルト!死なないで!
」
「さようなら・・・スプリングポー・・・」
いつの間にか二匹は泣いていた。
一瞬が永遠のように感じられた。
「これからも・・・サンダー族をよろしくね
・・・・」
「さようなら、スプリングポー」
そして大好きだった指導者は短すぎる生涯に幕を閉じた。
「シンダーペルト!!!!イヤァァァ!!」
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五章はどうだったでしょうか?
今のところDCDさんにしかコメントをもらっないので、ほかのみなさんも感想をくれるとうれしいです!