影と災害の悪夢

 

 

「しばらく、ダークライトニング」

 

「・・・遅い。遅すぎるぞ、シャドウクロー」

 

黒猫が招集をかけてから約一ヶ月、やっとシャドウクローが来て全員そろった。

 

「ふん。俺は兄さんのためにわざわざ来たんだ。それぐらいは感謝してほしいな」

 

藍色の目をした雄猫は、冷ややかな表情を浮かべて言った。

 

ダークライトニングは闇のような黒い毛をした弟にブチ切れそうになったが、こらえた。

 

がまんしろ!こいつなしではタイガースター様の望みにはこたえられない・・・あと少しの辛抱だ。

 

「悪かったな。早速だが、明日あたり、マッディストリームと協力してあの部族を影と災害の恐怖に陥れるんだ」

 

「具体的に俺は何をするんだ?」

 

「マッディストリームには地震を起こしてもらって、台風で弱ったあの部族と生き残っている獲物を弱らせる」

 

シャドウクローは不敵な笑みを浮かべる。

 

「おまえは持ち前の影を操り、ウィンド族やリヴァー族を操ってタイガースターの言っていることに対して矛盾していないようにつじつまを合わせてくれ」

 

「俺にはお前が必要なんだ。頼む」

 

その言い方が気に入ったのか、黒猫はうなずいた。

 

「ただし、ひとつだけ注意がある。ウィンタースノウという雌猫は俺たちが見える。気をつけろ」

 

「俺を誰だと思ってるんだ」

 

「忘れちゃいないさ。あと少しで大集会だ。頼んだぞ」

 

「じゃ、行ってくるぜ。マッディストリームと一緒に」

 

「期待してるぞ」

 

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サマースカイは悩んでいた。

 

いったいあの声は何だ?

 

キャンプが謎の影に襲われたときのことを思い出す。

 

姉が謎の影と対話して・・・

 

その影はブルースターに変な事をしたのと同じやつで・・・

 

そして、その間は自分たち兄弟姉妹以外の時がとまっていた。

 

やっぱり妹に直接聞くのが一番かも・・・

 

そう思ったサマースカイはちょうどウィンタースノウを見つけ、尻尾でこっちに来るように合図した。

 

「なに、サマースカイ」

 

「この前のキャンプの襲撃で聞きたいことがあるんだ」

 

そう言ったとたん、妹の表情が曇った。

 

「ああ、あの時の事ね」

 

「なんで影が見えたんだ?僕には見えなかったぞ」

 

「私にもわからない。でも、スポッティドリーフが教えてくださってから見るようになったの」

 

「あいつらは何なんだ?」

 

「スプリングフラワーにも聞いてみたの・・

リーダーはダークライトニングという猫」

 

「その下はポイズンテイルという猫・・・スポッティドリーフが教えてくださった」

 

「その下はマッディストリームという猫。フォールリーフが夢の中でブラックナイトにあって、聞いたの」

 

「でも、あと一匹がわからない。兄さん、何か聞いてない?」

 

ウィンタースノウはすがるような目で見つめてきた。

 

そんなの、あったっけ?

 

サマースカイは記憶を探った。

 

「!!思い出した!」

 

「ホント?誰?」

 

「夢でシンダーペルトが教えてくれたんだ。シャドウクローという雄猫に気をつけろと」

 

「そいつが一番下のやつだわ」

 

「でも、何で僕たちなんだろう?」

 

サマースカイはずっとあった疑問を口にした。

 

「分からないわ」

 

妹は正直に言った。

 

「でも、森に悪が入ってくるのが分かる、ってスプリングフラワーも言ってる。きっとスター族の力でも阻止できない恐ろしいことが起こるんだわ」

 

たしかにそうだな、とサマースカイは思った。スター族の力で止められるのなら、まだまだ未熟な戦士にお告げをするはずがない。

 

「これからどうすればいいんだろう?」

 

「私たちにできることをするしかない。スター族が私たちにお告げをくれたということは

私たちに何かしてほしいということ」

 

「敵の動きを待つしかないわ」

 

「結局それしかできないよな」

 

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満月が空高く上った頃、サマースカイたちは大集会の場所に来ていた。

 

だが、今日はなんかおかしい。

 

シャドウ族やリヴァー族、ウィンド族の猫たちは、サンダー族の猫を見るなり毛を逆立て

怒りに燃えた目でにらんでくる。

 

おかげでサンダー族の猫たちはほかの部族の猫たちと話せていない。

 

そこへ、開会を告げる声が上がった。

 

裏切り者のタイガースターが一歩進みだして話し出した。

 

「みんな、聞いてくれ。シャドウ族はこの前

サンダー族に襲撃を受けた」

 

サンダー族の猫たちから驚いたうなり声が上がった。

 

なんだって?襲撃してきたのはシャドウ族だろう?

 

「わが部族は一方的な攻撃を受け、負けるところだったが、ウィンド族の応援を受け、追い払うことができた。シャドウ族はウィンド族に感謝する」

 

「サンダー族は襲撃なんかしてないわ!」

 

ブルースターが怒鳴る。

 

「じゃあ、シャドウ族の猫たちの追った傷跡を見ろ」

 

「確かにシャドウ族の猫たちは体に傷跡があるわ。でも、サンダー族は襲撃なんかしていない!」

 

ブルースターが切り返す。

 

「じゃ、リヴァー族にも聞いてみようじゃないか。どうなんだ、レパードスター?」

 

「タイガースターの言っていることは正しいわ」

 

斑点模様のある雌猫は言った。

 

「うちのパトロール隊が現場を目撃しているの」

 

サンダー族の猫たちからいっせいに怒りの声が上がった。

 

「サンダー族は襲撃などしていない!」

 

副長が叫ぶ。

 

そのとき、満月に雲がかかった。

 

「スター族が怒っていらっしゃる!みんな!今夜の大集会は終わりだ!」

 

タイガースターがそう叫ぶと、三部族の猫たちはあっという間に消えた。

 

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「何で満月なんかに雲がかかったんだろう」

 

サマースカイはウィンタースノウとフォールリーフと狩りに出ていた。

 

「分かんない」

 

弟が答える。

 

そのとき、地面が激しく揺れた。

 

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ついにスパークフットさん命名のシャドウクローが登場!

 

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By ペング