ブランブルポーの裏切り
フォールポーはキャンプで起こっていることを想像して身震いした。
「全速力でキャンプに戻りなさい!」
ブルースターが命じた。
月光のもと、大集会に参加した戦士や見習いたちは勢いよくキャンプの入り口に駆け込んだ。
キャンプは戦場になっていた。
フォールポーの横を姉のウィンターポーが追い越して、近くにいたトラ猫勢いよく襲いかかった。
フォールポーあたりを見回して相手をさがした。
グレーストライプがトラ柄の雄猫と取っ組み合っている。
なんてことだ!あれはブランブルポーじゃないか!
ブランブルポーはフォールポーたちより早く見習いになり、ファイヤハートのすばらしい指導を受けていたが、姉のトーニーポーを殺し、捕虜同然の身分になっている。
フォールポーは戦士の雄たけびを上げてブランブルポーに飛びかかった。
ブランブルポーは琥珀色の目に怒りをたたえてフォールポーの足に噛み付いた。
フォールポーは、グレーストライプに教わった技を思い出しながらわき腹を引っかいた。
ブランブルポーはしばらくねばっていたが、
グレーストライプが尻尾に噛み付くと、ようやく逃げていった。
グレーストライプはフォールポーに感謝のまなざしを送ると、再び戦いに渦の中に飛び込んでいった。
フォールポーは、次々に敵を倒していったがだんだん不安になってきた。
敵の数はなかなか減らず、サンダー族の戦士たちは、死にも狂いで戦っている。
負けそうだ・・・・・スター族さま!どうか助けてください!
フォールポーの必死の願いが届いたのかどうか知らないが、キャンプの入り口からサンダー族の戦士たちが勢いよく入ってきた。
夜間パトロールに出ていたライオンペルト、ブラックナイト、リードシルクにアイヴィーリーフ。それから狩りに出ていたスノウファー、エメラルドリーフ。
元気いっぱいの戦士たちを目の前にして、浮浪猫たちは恐れをなして散らばった。
フォールポーは、保育部屋が安全なのか確かめるため、裏に回った。
不意に誰かの悲鳴が聞こえた。誰だろう?
シダの茂みを突き進んでいくと、ブランブルポーがいた。そして、鋭いかぎ爪で誰かを引っかいた。
恐ろしい悲鳴があたりを劈く。
フォールポーは言葉を失った。
ブランブルポーは、
この自分の前で、
サンガー族のキャンプの中で、
自分の母親のゴールデンフラワーを残虐に殺した。