動き出す悪
ウィンターポーは妹の悲鳴にびっくりして毛を逆立てた。
隣にいたスノウファーも体をこわばらせている。
妹の深い悲しみが波のように押し寄せてくる。
自分たち姉妹兄弟は、互いの気持ちをすっかり読み取れる。
そのおかげででうそはつけないんだけど。
とにかく妹が心配だ。妹の声からすると信じたくはないけど、きっとシンダーペルトはスター族に召されただろう・・・・
「シンダーペルト!イヤァァァ!」
妹の悲痛な叫び声がまた響いた。
ウィンターポーはスノウファーを追い越し、妹のもとへ向かった。
目の前には恐ろしい光景が広がっていた。
木の下敷きになったシンダーペルト・・・・
まだつやのある灰色の看護猫の体に触れてみたが、恐ろしいほど冷たかった。
「シンダーペルト・・・・」
隣でスノウファーがぞっとしたようにつぶやいた。
「シンダーペルトが死んじゃったわ・・私が来たときはまだ息があったのに・・死んじゃったわ・・・」
スプリングポーはウィンターポーを見るなりそう言った。
いったいスター族さまは何をお望みなのかしら・・・
こんなにもたくさんの命が失われても、スター族は何にも感じないの?
シンダーペルトのしを嘆き悲しむ妹を見てたら、こんな風に思わずにはいられなかった。
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「何だって!?シンダーペルトが亡くなったって!?」
キャンプに戻ってシャイニーハートに報告すると、副長は悲鳴を上げた。
「まだあんなに若かったのに!」
アイヴィーリーフが付け加えた。
「やっぱり、シンダーペルトは死んだって言ったでしょ?」
サニングロックスの奥からブルースターの冷ややかな声が聞こえた。
「私がいったときにはまだ息がありましたよ」
スプリングポーが反抗的に言った。
「でも、逝っちゃったわ」
ブルースターが言い返すと、スプリングポーはぷいと顔を背けて、どこかへ消えた。
「ブルースター、何もそんな言い方しなくても・・・」
「私に指図しないで!」
シャイニーハートがやんわりと指摘すると、ブルースターは怒鳴って言い返した。
「もうキャンプへ帰るわよ。準備をしなさい」
ブルースターはそう言い放つと岩の陰にうずくまった。
「ブルースターはどうしちゃったんだろうねぇ?」
アイヴィーリーフの妹のリードシルクがちょっと不安そうに言った。
その質問には誰も答えられなかった。
ああ、スター族さま!どうかこれ以上サンダー族に不幸を持ってこないでください!
ウィンターポーは先祖の戦士たちに必死に願った。
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「やあ、ブランブルポー!元気か?」
「失礼しちゃいますねぇ、先輩?僕はもうブランブルクローですよ」
「すまんな。それで、話って何だ?」
「率直に言っていいですか?」
「ああ、言え」
「あの憎々しいサンダー族を滅ぼしてほしいんですよ」
「何でだ?」
「タイガースターがいい方法を思いついたらしいんです。闇の力をお持ちの先輩なら簡単だろうって」
「上手いこというじゃないか。まあ、タイガースターの願いなら聞くしかないな・・・」
「商談成立ですね♪」
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やっと六話までいった・・・
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次回もお楽しみに!