お告げ
サマーポーは夢を見ていた。
(ここはどこだ?)
そこは森の中だった。
ふと、妙に懐かしいにおいがした。
振り向くと、おととい亡くなったシンダーペルトが立っていた。
「シンダーペルト!!何でここに?」
「あなたに伝えたいことがあってきたの」
看護猫はそういって、ついてくるよう尻尾を振った。
(何でスプリングポーじゃなくてぼくなんだ?)
「これを見て」
シンダーペルトは見たこともないツルツルの板をさした。
「これは何でしょうか?」
「これは鏡というもの」
「カガミ?」
サマーポーは聞きなれない言葉に顔をしかめた。
「覗いてみて」
言われたとうりに覗いてみると、自分とそっくりな猫の姿が映っていた。
びっくりして背中の毛を逆立てると、相手の猫も毛を逆立てた。
「・・・・・」
「これがあなたたちの敵になるの」
「はい?」
「・・・よく覚えておきなさい・・・」
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「シンダーペルト!!」
「は?なに?」
サマーポーが飛び起きると、目の前でドルフィンポーが怪訝な目で見ていた。
「あ、ごめん。夢を見ていたんだよ」
「ふうん。ま、いいんだけど」
ドルフィンポーは興味をなくしたように妹の方へ行った。
(うーん?何だこの気持ちは!!)
「おーい!サマーポー!」
ファイヤハートの声にサマーポーの異様なドキドキがかき消された。
「なんでしょうか、ファイヤハート」
「今日は半月だろう?」
「ええ、そうですね」
「明日になればお前の妹は正式な看護猫になる」
サマーポーは指導者の言おうとしていることがわかってきてドキドキした。
「だからそれに合わせて、ほかの兄弟姉妹たちも戦士にしてやろうと思って」
「ホントですか!?」
「ああ、ホントだ」
「やったぁ!」
「そんで、今日はテストをする」
するとファイヤハートは尻尾を振ってほかの猫たちを呼び寄せた。
サンドストームとウィンターポー、グレーストライプとフォールポーが周りに群がる。
「さあ、出発!」
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サマーポーはドキドキしながら結果を待った。
テストでは狩りをし、みんなたくさんの獲物を捕らえた。
早く戦士になりたい!!
そう思っているうちに、指導者たちと族長―
じゃなくてなぜか副長―がやってきた。
「一応テストは合格」
シャイニーハートが言った。
「明日の夜中に命名式を行うそうだ」
その不安そうな言い方を聞いて、サマーポーは手放しで喜べなかった。
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「今日よ!」
「なにが?」
「分かってないのねぇ。命名式よ!」
ウィンターポーが勝ち誇った声を出した。
「そんなの分かってるよ!」
サマーポーも勝ち誇った声を出した。
「あ、帰ってきたよ!」
フォールポーがキャンプの入り口を見ていった。
みんなが駆け寄ると、スプリングポーはうれしそうな顔をした。
「お帰り!スプリングポー!」
フォールポーは言った。
「いやなことをいうわねぇ!わたしはスプリングフラワーよ!」
「そうだったな!ごめん」
「でも、私たちも、今日、戦士になるの!」
四匹は、夜まで喋りつづけた。
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「命名式の時間よ」
サマーポーはドルフィンポーに起こされた。
「命名式に寝坊するなんて、ねぇ?」
「ありがと」
部屋を出るとほとんどはハイロックの下の集まっていた。
みんなが集まったのを確認すると、ブルースターが三匹を前に集めていった。
「ファイヤハート、グレーストライプ、サンドストーム、この三匹を戦士にすることに異議はないわね?」
三匹の戦士はうなずいた。
「わたくし、サンダー族の族長であるブルースターは、この見習いを見ていただきたく先祖の皆様にお願いいたします」
一同は静かになる。
「この見習いは一生懸命訓練をし、あなた方の定められた崇高なおきてを理解するべく努力してきました。そこでこのたび、私はこの猫たちを戦士として推薦いたします」
「サマーポー、ウィンターポー、フォールポー、あなたたちは自分の命を犠牲にしてでもも戦士のおきてを守りぬき、わが一族を弁護し、保護することを誓いますか?」
『誓います』
三匹は同時に答えた。
「ではスター族の権限を借りて、あなたたちに戦士名を与えます。あなたたちは今この瞬間より、それぞれサマースカイ、ウィンタースノウ、フォールリーフという名になります。スター族はあなたたちの知識と誠実さをたたえ、サンダー族の正式な戦士として歓迎します」
ブルースターは三匹の肩に鼻を触れた。サマースカイはお返しに方をなめた。
「サマースカイ!ウィンタースノウ!フォールリーフ!」
サマースカイに暖かい気持ちが広がった。
自分は今日、戦士になったのだ。
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七話終了!
なかなか大変・・・・
これからも応援よろしくお願いします!