エクシード対エクシード前篇
ピシャァァ!!ゴロゴロゴロ・・・ザァァァァー
二体のエクシードが現れるとともに天候が崩れた。彼らの発する圧倒的な力が転向にまで影響を及ぼしているのだ。
「・・・・・・・。」
「・・・グリフィン・・・。」
二匹がほぼ同時に歩み出す。
「・・・・・・!!」
途中、グリフィンが右腕を突き出して念力を送ってきたが、
「!はぁ!!!」
ジンジャーはそれを片手ではねのけた。
「・・・!!」
「ふぅ、・・・は!!」
両者が同時に神足で肉薄する。
「・・・・・!!!!!」
「おぉぉぉぉぉぉ!!!!」
たがいに強烈なパンチを放つ。どちらも並の猫なら即死級の威力をもった一撃だ。
「-っ!!」
「くっ!!」
だが強化された肉体をもつエクシードの彼らは耐えている。戦いはまだこれからだ。
「・・・!!」
「はぁ!!せい!!」
バキッ!ドガッ!!ゲシッ!!!
そのまま乱打戦に移っていく。片やアッパーが顎をとらえれば、ストレートのお返しが入り、蹴りを入れれば、裏拳を入れる。
お互いの四肢と、時には頭まで使って攻撃する。
お互いに下手なフェイントは仕掛けようとしない。小細工なしでたたきつけ、ねじふせるのが最も効果的だからだ。
ガシッ!!!
両者が前脚を突き出して、がっちり組み合い、ギリギリと押し合う。
「・・・!!!」
グググ・・・。
「ぬぅ~ん・・・!!!」
グググ・・・。
二匹は幾ばくかの間動きを止めた。しかし、
「ぉぉぉ・・・おおおおお!!だぁぁ!!!」
元々の身体能力で上回るジンジャーが押し合いを制した。
「ハァァァ!!!」
のけぞったすきを逃がさず腹に連続パンチを決め、タックルで吹っ飛ばす。
「・・・・・・。」
ふっ飛ばされたグリフィンが地面を転がる。
「・・・・・・。」
相変わらずの沈黙を守ったまま、立ち上がった相手にジンジャーは警戒の構えをとる。
「・・・・・・!!!!」
「なっ!うわっ!!」
予想外の攻撃に今度はジンジャーは吹っ飛ばされた。グリフィンが突き出した両腕から黒い重力波動を放ってきたのだ。
「・・・!!」
さらに今度は鉤爪を氷で強化してきた。雨汁に濡れた刃が光る。
「・・・!」
両腕にそれを装着し、接近してくる。だが今度はジンジャーの番だ。
「コォォォ・・・ハァァァァ!!!!!」
ジンジャーは上下に構えた腕の間に水を圧縮し、ソフトボールより少し大きいくらいの水球を作ってグリフィンめがけて発射した。
「-っ!-!!」
グリフィンは氷の鉤爪でそれを切り裂こうとしたが、逆に爪をすべて折られて吹っ飛んだ。しかしこれを受けても起き上がってくる。
「-!」
「ふんっ!」
次の動きはほぼ同時だった。グリフィンが右腕を掲げ、ジンジャーは腕を腰だめにする。
ジジジ・・・バチッバチッバチッ!!!!
次の瞬間、グリフィンは右手に、ジンジャーは両角の間に雷が落ち、構えに入る。
「-!!!」
「おぉぉぉぉぉぉ!!!」
グリフィンは左手を添え、ジンジャーは炎獅子のように稲妻のエネルギーを振り回す。
「--!!!」
「はぁぁぁ!!!」
ドゴォォォォ!!!!!!
両者の放った雷が激突し、爆発を起こす。
「・・・・。」
「・・・・。」
だがそれほどのエネルギーをもってしても決着はつかなかった。爆煙の中から無傷の両者が現れた。雨の中で、二色のオーラが炎のように立ち昇る。
「グリフィン。俺は死ねない。一つでも命を奪ったら、あなたは後戻りできなくなるから・・・!」
ジンジャーは構えをとりなおし、グリフィンと対峙する!!