その名は獅子鷲

 

「一体…何者なんだい君は?」

時はファイアハートがパトロールから帰ってすぐまでさかのぼる。

 

 

「そんな、マンティスキットが…?」

「ああ、勝手にキャンプから抜け出したんだ。多分見習いになるのが待ち切れなかったんだろう。」

 

見習いになるのを控えている子猫、マンティスキットがキャンプから消えたのだ。

 

「僕、もう一度いってくるよ!」

「わかった、僕も行く。」

こうしてファイアハートとグレーストライプはサニングロックスまでやってきたのだ。そして肝心の子猫を見つけた。問題はそのあとだ。

 

マンティスキットが見知らぬ猫と話していたのだ。そして彼が一番驚いた理由、その猫には4枚の翼が生えていた。

 

 

 

時は再びさかのぼり、数分前のサニングロックス。

「よし、森を抜けるまでもうちょっとだな!」

日はすでに傾いており、グリフィンは目的の牧場に到着するため、速度を速めようとした。その時!

 

「ん?あれは…!」

彼の視界に一羽の鷹が目に入ったのだ。そしてそのかぎ爪には一匹の子猫がつかまっていた。

 

「ふう、予定変更だな!」

グリフィンは鷹に向かって突進すると、すれ違いざまに背中を引っ掻いた。鷹は突然のことに驚き、獲物を落としてしまう。グリフィンは素早く方向転換し、子猫をキャッチした。どうやら無事のようだ。

 

「よう!危なかったなリトルガール。」

まだ動揺している子猫にとりあえずグリフィンはウインクをしながら話しかける。

 

「え?お兄ちゃん誰…?」

グリフィンはゆっくり着地して答えた。

「俺はグリフィン。鷹には気をつけないと駄目だぜ?」

ぴしっ!と前足で相手を指しながらまたウインクをする。

するとその時だ、近くの茂みからショウガ色の猫と灰色の猫が出てきた。チッ雄猫か。

 

「マンティスキット!探したぞ。」

「ダメだろ勝手に出歩いちゃ!」

藪からスティックに現れた二匹は途中で、俺に気付いた。

二匹のうちショウガ色のほうはえらく驚いていた。なるほど、このウイングのせいか。

 

「あ、ファイアハートとグレーストライプだ!」

マンティスキットと呼ばれた子猫が二匹に駆け寄る。

「あのね、このお兄ちゃんが助けてくれた  の!」

先ほどの動揺はどこえ消えたか、彼女は無邪気に話す。

「一体…何者なんだい君は?」

動揺が収まらないショウガ色にグリフィンはニヒルな笑いを浮かべて答えた。

 

 

「俺の名はグリフィン。人呼んで

 “さすらいの翼猫”さ!」