副長と…青汁!?

 

ブルースターが集会を開いた。ジンジャーがハイロックの上でにこやかにあいさつをしている。ふふ、あいかわらずのベリースマイルだな。

 

「ジンジャーです。見てわかると思いますが、ホーンドキャットっていうちょっと特殊な種族なんです。よろしくお願いします。」

 

ジンジャーが自分の角を指しながら言う。

 

(ふ~、それにしても…)

 

グリフィンは集会に集まったメンバーの表情を見て憐みを覚えた。何故なら…

 

(あ~あ、あいつとあいつ完璧に見とれてやがる)

 

何匹かの雄猫がジンジャーに見とれているのだ。確かにジンジャーはパッと見綺麗な雌猫だが。

 

「あ、それと俺、雄です。」

「「「えぇーーーーー!?」」」

 

一族の大半の者が声を上げるか唖然としている。さっきの奴らは…いや、やめておこう。昔を思い出す。

 

 

集会の結果、本人の希望もあってジンジャーがしばらく部族に居座ることになった。

タイガークローはいい顔してなかったが族長の決定だからしぶしぶ従った。

 

「よう、マイフレンド。元気だったかい?」

 

「ああ、もちろんさグリフィン。しかし驚いたな~君もここにいたなんて。」

 

「ま、大体はお前と同じさ。鷹にさらわれたリトルガールを助けて…寄り道したのさ。」

 

グリフィンはウインクをしながら言う。

 

「はは、君らしい理由ですね。」

「だろ?」

 

笑い交じりに話しているとファイアハートがやってきた。

 

「?二人は知り合いなのかい?」

「ええ、昔いろいろと。」

 

それからジンジャーは何を思い出したのか声をひそめ、

「実は、初対面の時俺、口説かれたんでんよ。」

おかしそうに話すジンジャー。

「ぷっ、…あっははははは!」

そして思いきり噴き出すファイアハート。

 

「その話は忘れろっていったろ!?ジンジャー!そして笑うなよ、ファイアハート!」

「いやだって…あはははは!」

「ですよね!ははは!」

「…OK、後でドロップキックだ。お祈りでもしてな…!」

三匹がはなしているとタイガクローがやってきてファイアハートに言った。

 

「甥っ子の次は翼猫で今度は角猫か?お前は拾いものが好きだな、飼い猫。」

 

俺とファイアハートは言い返そうとこちを開いたが、話せなかった。なぜなら、

「ぶわっくしょん!」

タイガークローが思いっきり特大のくしゃみをしたからだ。

 

「あ~!大丈夫ですか!?ちょっと診せてください。」

 

やめろというタイガークローをお構いなしにジンジャーが熱を測る。

 

「あ~軽い風邪ですね。川に落ちたせいでしょう。」

 

診察を終えると看護部屋の位置を聞き、そのままやや強引に引っ張って行く。

 

「いいやつなんだが時々ああなんだよ。どうする?」

「…まあ多分大丈夫だよ。」

 

翌日、グリフィンは頼まれたクモの巣を届けに、ファイアハートは獲物の差し入れに看護部屋を訪れた。

 

「おお、タイガークロー。もう起きて平気なのかい?」

 

「フンッ、なめるな。こんな風どうということはない。」

 

「あ~ダメじゃないですか!風邪は万病の素ですよ!」

 

場違いの明るい声が響き、皿をもったジンジャーが入ってきた。そしてその中身は…

 

「なんだこれは…」

「おい、ジンジャーこれ…」

「はい、青汁です!風邪ひいたときは栄養補給が一番です。」

「……。」

タイガークローは無表情のまま皿を見つめる。

青汁より皿に抵抗があるのかもしれない。

 

「タイガークロー、その…無理しなくても…。」

「見くびるな飼い猫。こんなものどうてことはない。」

元飼い猫のファイアハートに言われてヤケになったのだろう。

タイガークローは一気に飲み干し、

「う…ぐっ…?」

やっぱり顔を青くする。

「いわんこちゃったない。無理はしないほうがいいぜ、Mr。」

「フンッ、なんのこれしき、俺の根性を見せてやる。」

「おいっ!もう一杯だ!」

「は~い、どうぞ!」

ジンジャーがすぐ二杯目を出す。

「まだまだあるからじゃんじゃん飲んでくださいね~。」

 

タイガークローがその言葉に冷や汗を滝のように流している。

ジンジャーはというと天使のように微笑みながら部屋の奥に消えていった。

ファイアハートはグリフィンと顔を見合わせる。その目は同じことを考えていた。

 

(笑顔が、笑顔がなんか怖い…!)

 

二匹は逃げるように看護部屋を後にした。