ショウガと獅子鷲

 

(俺が本当にしたいこと・・・。)

 

ジンジャーは今日も日課であるトレーニングをしていたが悩んでいるせいか身が入らない。

 

(くっそ!調子狂うぜ!)

 

グリフィンも普段とは違う感覚にやや苛立っていた。

そんな時だ。二匹が出会ったのは。

 

「グリフィン…。」

「おお、ジンジャー。今日もトレーニングか?マメだねぇ。」

「そんな・・・バレットに比べたら俺なんて全然・・・。」

「あいつ、本っ当に徹底してるからな・・・。」(汗

「ですよねぇ・・・。」(汗

 

二匹が回想するのは昨日のこと。バレットがジンジャーに薬草や毒草、さらに人体いや、猫体について聞いてきたのだ。

 

「なんだバレット、お前も看護猫志望かい?」

グリフィンが尋ねると無表情でこう答えた。

 

「知っておいて損はない。それに、敵と戦うにはこういった知識も居るだろ?」

 

徹底している。バレットは別に好戦的ではないようだが、少し物騒だ。

 

「・・・まあ、彼は角猫一族の戦士として誇りを持ってるしなにより・・・部族そのものを愛していますから。」

「不器用だからな。あいつなりの忠誠心なんだろう。」

 

ハハは。ッと二匹は少し笑いそして…。長い沈黙が訪れた。

 

「・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・。」

 

「だぁーー!!もう!」

「っ!!??」

 

「ジンジャー、俺と戦え!」

「えぇ!?な、なんですか急に!?」

「いいから、早く!」

「わ、わかりましたよぉ・・・。」

 

 

数分後

「コォォォォォ・・・ふんっ!」

「さてと、いくか。」

 

どっしりと構えるジンジャーと、ゆったり構えるグリフィン。

 

「はっ!」

「ふんっ!」

 

ビシッ!バシッ!

ジンジャーがパンチを繰り出し、グリフィンがクロスカウンターしようとする。

しかしジンジャーはそれを防ぎ、左前脚で腹を狙う。

グリフィンはバックステップでかわし、その勢いで後ろを向いてキックを繰り出す。

 

ジンジャーは前足をクロスさせてそれを防ぎ、距離をとる。

グリフィンは後ろを向いたまま、後ろ足で立ち上がる。

 

「・・・はっ!!」

ジンジャーが駆け出し、敵の少し前でジャンプして、落下の勢いをつけてパンチを繰り出す。

「・・・!りゃぁ!!」

 

対するグリフィンは左足を軸に空中後ろ回し蹴りを繰り出し、ジンジャーを蹴り飛ばした。これぞ、「カウンターキック」である。

 

「くっ!」

ジンジャーは少し地面を転がった後、体勢を立て直す。

 

「悪いが決めるぜ!」

 

グリフィンが飛翔し、ドロップキックを放ってくる。

 

「・・・!!」

ジンジャーもブレイクパンチの準備にかかる。

ただし繰り出されたそれは相手の前で一回転して勢いをつける、「強化ブレイクパンチ」だった。

 

ドォォン!

 

技の激突、制したのは力で上回るジンジャーだった。

 

 

「・・・チッ。相討ちか。」

「ええ。ですがなかなか手ごたえがありました。」

 

「・・・・・・なあ、ジンジャー。」

「はい?」

「俺、決めたぜ。俺はもっと強くなる。もっと強くなって、女にカッコつける。」

「あは・・・真剣そうに言うから何かと思いましたよ。」

「何言ってんだ。真剣な話だ。」

 

「それとさ、ごめんな。」

「え?」

 

「お前、戦ってる時すっごく真剣な顔だけどさ、なんか悲しそうにも見えるんだ。」

 

「・・・!!」

 

そこまで言うとグリフィンは先に帰ってしまった。一匹残されたジンジャーは、

 

(悲しい・・・?俺は・・・どうして?)