プロローグ
スクワーレルフライトは森の中を歩いていた。
ここはサンダー族のなわばりの端にあるブナの木がたくさんある森だ。あたりは夜で、
空にたくさんの星がまたたいている。
ゆっくりと歩きながら、スクワーレルフライトは考えた。
「ここは夢の中なんだわ」現実は、こんなに星がたくさんあることなんてほとんどない。
今の星は現実の3倍はゆうにこえている。
スクワーレルフライトは歩き続けた。
特に理由はないが、ただただ歩いた。
すると、気づくと知らない場所だった。
スクワーレルフライトは少し立ち止まってあたりを見まわした。
真っ暗だ。
あんなにあった星がひとつもなくなっている。
真っ暗の先に、輝く猫の影のようなものが見え、話しかけてきた。
「はぐれものが来る。多くの血が流れる」そういうと、消えた。
スクワーレルフライトは、不安になり、駆け出した。
早くこの暗闇から抜け出したかった。
しかし、いくら走っても抜けられなかった。
早く夢から抜け出したい!!
すると、後ろから何かが追いかけてくる気配があった。
猫の足音ではない。
荒い息づかいがきこえる。
スクワーレルフライトは恐怖で体がこわばった。
追いかけてくるものはなに?
私を殺す気?
走り続けていたら、足音が消えた。スクワーレルフライトは恐怖をこらえて振り返った。
それは、すぐそばにいた。
スクワーレルフライトに見えたのは、黄色く輝く目と、白く輝く長い牙だった。