予言なのだろうか
「ねぇ、本当に行くの…?」
「もちろん行くよ!スター族様のお告げだったんだから!!私夢で会ったのよ!!」
「いや、でも・・・」
「私がスター族様からお告げを受けたって信じないの!?」
「信じるよ!! でも、内容がスター族様らしくなかったじゃないか。 真夜中に、4本木にいらっしゃい って。 しかもスター族様は姿を見せなかったんだろ? 仮に行くならだれか戦士を…」
「あなたはスター族様のお告げを受けたことがあるの? 無いのになんで分かるのよ。」
「そりゃあそうだけど・・・」
「
きっとお告げってこういうものなのよ!そうに違いないわ!!」
「はぁ・・・。」
元気で何も疑おうとしない姉、シンダーポーに少し嫌気が差した。
「さ。キャンプを抜け出すわよ・・・。」
こっそりと看護猫の部屋の横から2匹で抜け出す。
「・・・ちょっとまって…?」
「どしたの? ブラクンポー。」
金茶の雄猫、 ―ブラクンポーが立ち止まり、辺りを見回す。
「誰かいなかった?」
シンダーポー、キョロキョロ。
「いないわよ。」
「…。気のせいかな?」
「そうよそうよ。行きましょ。」
「…うん。」
2匹はあまり音を立てないように4本木へ向かって走り出した。
吉祥が茂みから顔を出す。
「さて、4本木には誰が待っているんだろうねぇ。」
そう呟いて、2匹の後を付いて行った。
※ ※ ※ ※
「戻るなら今よ?」
「姉さんをひとりにするわけにはいかないでしょ・・・。」
「ふふん。途中で逃げちゃダメよ?」
「何が起こると思ったの?」
「スター族様が待ってるんじゃない?」
「じゃあ逃げないよ。姉さんを見守る。」
「ブラクンポー、どしたの?」
「心配なんだよ!! もし何かあったらどうするの…。」
「何もないわよ!! 何もないからスター族様がお呼びになったんでしょ?」
「・・・。 もういいよ。 はやく済ましてキャンプに戻ろう…。」
「そうね。」
4本木への坂道を駆け下りた。
「およよよよ・・・ そんな無茶言ったら… ああもう!! なんで付き纏うかな!!」
「「?」」
2匹の背後から聞きなれた声が聞こえてきた。
「この声って・・・」
「やっぱり・・・?」
「わかったわかった。 なんとかするから!! 説得するかr… っておわっ!!」
先ほど2匹が駆け下りた崖を今度は黒猫が転がり落ちてきた。
「いでぇ・・・ 今日は厄に好かれてるのかぁ? やたら落下するお・・・。」
「き、吉祥さん!!」
崖から落ちてきたのは噂のバケモ… 黒猫の吉祥だった。
「んにゃ? あら、シンダーポーとブラクンポーだっけ?」
「どうしてこんなところにいるんですか?」
ブラクンポーが震えながら言う。
「こっちのセリフだよ。こんなところで何やってるのか、知りたいんだけど?」
「う・・・。」
「…。」
キャンプを無断で抜け出したことがばれてしまった。
「まあ、僕も無断で抜け出してるから人の事は言えないんだけどねー。4本木で何するの?」
「スター族様からお告げを受けたんです!!」
シンダーポーが自信満々で言う。
「真夜中に、4本木にいらっしゃい って夢の中で言われたんです!!」
「へえ。 それで真夜中に抜け出したと。」
「・・・はい。」
シンダーポーが項垂れる。
「じゃあ、僕も今さっきお告げ受けたよ?」
「えっ!?」
吉祥は思い出すように目をつむる。
「何者かに騙された見習い2匹を止めてほしい。 って言われた。」
「えっ…。」
「さて、見習い2匹は君たちだけじゃなかった? 騙されたんだとすれば、僕は君らを止めなくちゃいけない。」
「でも・・・ 本当に…。」
「吉祥さん!! 姉は本当にお告げを受けたんですよ!!」
「…。 力を持っている者なら、夢を操るのは基本の基本だ。 意識がある者を操るよりもずっと簡単だからだ。 僕にだって操れる。 騙すのなんて簡単だろうね。それに・・・」
「聞いたんです!! 本当に!!!」
シンダーポーは4本木に向かって走り出してしまった。
「あ、ちょっと!」
ブラクンポーは吉祥をちらと振り返り、姉を追う。
吉祥は悲しげにため息をつき、空を見上げる。
満月になる少し前の月が真上に登っていた。
たった今、真夜中となった。
得体の知れぬ敵が近くにいるのか。
吉祥は久しぶりに自分の毛が逆立つのを感じた。
面白い…。
吉祥は不敵に笑い、術の準備に取り掛かった。
さて、シリアスゾーン突入です。
僕はDCDさんとかと違って、戦闘シーンの細かな描写がどうも慣れてないんですよねぇ。
gdgdな会話は大好物ですはい^q^
まあ、重要なシリアスゾーンも結構短い可能性があるので、ご了承くださいww