メッセージ

 

「おく~れま~した~♪」

吉祥は山の山頂にひょっこり顔を出し、先に来ている猫たちに無邪気に挨拶した。

 

「呼んでないけどな。」

その中の一匹が答える。

 

「呼ばれてなきゃ僕は来ないってば~。 んじゃ僕はゲストですよろしく~♪ どーせ大した話してないでしょ?」

吉祥はそう言いながら輪に加わる。

 

「いや、そうでもない。」

 

数十匹いる猫の中でも一目置かれているリーダー格の猫が言う。

 

「ほう? なんですの?」

吉祥が心持ちを変えるだけで口調が変わる。

 

 

「それはな、最近・・・

 

 

 

 

※   ※   ※   ※

 

 

「大丈夫か? グレーストライプ?」

「大丈夫なわけないだろう!! 寒いよ!!」

 

 

凍った川の上のネズミを狙って、氷の川に落ちてしまったグレーストライプを気遣いながら、キャンプに戻っていた。

さいわい、リヴァー族の雌猫が助けてくれたので命は助かったのだが、サンダー族の猫たちになんて言い訳をしようか…。

 

 

キャンプに入る。

タイガークローが睨む。

 

早速、嫌な展開・・・。

 

「獲物が無いようだな!! それにお前はずぶ濡れだ!! 何があったか説明してみろ!!!」

 

グレーストライプを睨んだ後、ファイヤハートに向かって怒鳴る。

 

 

「私のせいなんです!!タイガークロー!!」

 

シンダーポーが後ろから口を出した。

 

「私が氷の張った訓練用の川に落ちそうになったのを助けようとしてグレーストライプが落っこちちゃったんです!! ファイヤハートが助けてくれたからなんとか助かったんですけど・・・」

「嘘をつけ。」

 

タイガークローは冷たく言い放つ。

「よく見ろ。 ファイヤハートは全く濡れてないじゃないか? どうやって助けるというんだ。 濡れてるのはグレーストライプだけだぞ? それに、あの変な猫はどこ行った? えぇ?」

 

ファイヤハートは参ってしまい、グレーストライプも縮こまっている。

 

ファイヤハートは何とか誤魔化さなくてはとなんとか言葉を返す。

「僕は、グレーストライプに川の浅い位置を教えただけなんです。 だから足の裏をちょっと濡らしただけで済んだんです。」

「嘘くさいな。」

「でも…

「ぶわっくしゅん!!!!!!」

ファイヤハートが反論しようとした瞬間、グレーストライプがくしゃみをする。

「・・・。 もういい。 お前は薬草をもらって安静にしてろ。 お前は・・・」

 

タイガークローはファイヤハートに向かって言う。

 

「あの変な猫がどこに行ったか、俺が納得するまで説明してもらおうか。」

グレーストライプが心配そうな目で見るが、ファイヤハートは鼻で看護猫の部屋を指して、はやく行くように促した。

グレーストライプは大人しく従い、シンダーポーとブラクンポーもそれに続いて歩いて行った。

 

タイガークローとファイヤハートは向き合う。

「え~っと・・・・。」

「俺はあの黒猫が、このキャンプにスパイにきてると思ってるんだが、見失ったんならほとんど間違いは無い。 さあ、詳しく話してもらおうか?」

ファイヤハートは悩む。

この状況で、消えちゃった 等と言うのはまずい。

それこそ、タイガークローの考えに賛成してしまうものだ。

「なんだ? 言えない理由でもあるのか? お前も仲間なのか? どうなんだ?」

タイガークローが迫る。

ファイヤハートは答えるに答えられずにモジモジしてしま

う。

 

「それはね…。」

いきなり誰かの声がする。

「本当の事言ったって、タイガークローは信じやしないって知ってるからさ。」

 

タイガークローは尻尾を膨らませて辺りを見回す。

 

その声は吉祥の声だ。

 

「君の心の中くらい全部読めるよ? 読まなくても分かる。 そんな程度な奴に、僕が術を使ったって言っても、嘘。と片付けてしまうでしょう。」

 

タイガークローの背後に黒い影が現れる。

 

「タイガークローさん元気ぃ!?」

 

いきなり背後から声をかけられたタイガークローは尻尾をさらに膨らませて横に跳ぶ。

しかし、タイガークローが着地した場所の地面が抜けてしまう。

 

「…おわああああっ!!」

穴に落ちるタイガークロー。

「わ~い引っかかった♪ 落とし穴の文化なんか無いよね。ここの猫たちには♪」

 

吉祥が穴を覗きこんで言う。

 

「この穴、僕の力で一時的にできてるだけだから、1秒もせずに埋められるけど。 いやぁ、立派なトラ柄の戦士の化石が生きたままの形でできたら未来の発掘科はたいそう喜ぶぞぉ。化石っていうのは埋まってその圧力で潰されてできるんだよ。 知ってた? あと、もっと穴を深くしちゃって、地球の核で見事にメルトダウン(炉心融解)させてもいいし。  あ、助けてほしかったら言ってね~。  他にはね~、 地下の世界を広げて、新しい部族でも築いてもらおうか~。 モグラみたいだからモウル族(モウル=モグラ)とでもつけようかしら? それからそれから・・・」

「いや助けてあげてって!! それはさすがにまずいと思うぞ吉祥・・・!!」

「冗談だお♪ ほれ。」

吉祥が指をさすと、落し穴の底からタイガークローが這い上がってくる。 穴の底が上昇したようだ。

 

吉祥はタイガークローに言った。

「今のは現実? 夢?」

「・・・現実だ…。」

「なら僕がここから姿を消して、猫神様に会いに行って、その寄り道でスター族に挨拶しに行って伝言を伝えたって言っても信じる? それは現実だと思う? 夢だと思う? 夢だって言ったらもう一回落とし穴を・・・」

「現実だ!! もうなんだって現実だ!!」

もうタイガークローさえかわいそうになってくる。

ファイヤハートは哀れに思った。

 

いやちょっと待て・・・。

 

「スター族に挨拶って・・・  会ったのかい!? スター族に!!」

吉祥に急いで問い詰める。

「え? うん。 会ってきた。間接的にね。 実際に合う時は死ぬときでしょ? でも伝言はしっかり伝えておいたよ。」

 

吉祥が当然の事の様に言う。

 

「神様というのはみんなつながっててね。 神々の間で伝えようと思えばどこまででも伝わるんだよ。 スター族にもね。」

 

そう話している内に、タイガークローはどこかへ避難していた。

これ以上被害を受けたらもう耐えられないだろう。

 

「と、この神様の話も、考え方次第で伝わり方が異なるからね。 もしかしたら本当には伝わってないかもしれない。 でも僕は伝わったと信じてる。 信じてるからこそ、神様やスター族様はその言葉を聞いてくださる。  まあ一言で言うなら、信じるか、信じないか。ってこと。」

そうして間を空けてから吉祥が言う。

 

 

「ファイヤハート、君は信じるかい?」

 

ファイヤハートには、吉祥がニヤリと笑うのが見えた。

勝手に背中の毛が逆立つ。

 

 

ファイヤハートは深呼吸してから、彼の望むであろう答えを告げた。

 

 

「信じるよ。」

 

 

吉祥は、ただ納得したように笑い、背を向けた。

 

 

 

「ところで、僕は食事にありつけるのかな?お腹すいたんだけど…。」

 

ただ、いきなり無邪気になる吉祥にはただ苦笑いするしかなかった。

 

小説と同じシーンはカット!!

みんな分かってるでしょ?ww

 

吉祥の豆知識ゾーンはてけとーに読み飛ばしてくださいww

書いてるこっちもてけとーなのでwwww

 

それと、タイトルもてけとーなので苦笑いでおkですww