バケネコ
「吉祥ってさ、とにかくいきなり性格が変わるように思うんだけど。」
「うん? 性格?」
ネズミを齧りながらファイヤハートが尋ねる。
グレーストライプは看護猫の部屋で休んでいるので、吉祥を誘ったのだった。
「だってさ、真面目だったすぐ後に無邪気になったり、遊んでると思ったらいきなり真面目になったり。」
「う~ん。。。 話していいのかな…。」
吉祥は一人で考え込む。
「それはね、僕は一つの性格で固定しちゃいけない理由があるからね。 知りたい?」
ファイヤハートは困ったが、好奇心には勝てなかった。
「・・・うん。」
「よろしい。 驚いちゃダメだよ。」
吉祥はそう言って目を閉じて呟く。
「…猫股っていうのは、化け猫の一種。 化け猫はなにかに化けることができる。猫股も同類である。 つまり。。。」
黒猫の姿を白い煙が包んだ。
煙の隙間から一瞬尻尾が見えたが、その尻尾は2本あるように見えた気がした。
その煙が消えると・・・。
そこにはファイヤハートが座っていた。
自分が目の前に座っていた。。
ファイヤハート(本物)は驚きで言葉を失ってしまった。
「僕はこうして誰かになりきる必要があるのさ!! だから、自分の性格を固定しちゃうと誰かに化けきれないんだよ。 完全に誰かにならなきゃいけないから、僕は性格を持っていないんだよ。」
ファイヤハート(偽)はファイヤハートと同じ声同じ口調で話す。
「性格を持ってないって、 どういうことなの?」
「たとえが悪かったかもね。」
ファイヤハート(偽)が考え込む。
ファイヤハート(本物)がファイヤハート(偽)の匂いを嗅いでみるが、自分の匂いがした。
「じゃあこう言おうか。 僕は、たくさんの猫の性格をまとめた性格なんだよ。 あらゆる猫、 いや。 あらゆる生き物の性格をまとめた性格。 ・・・まあ簡単に言えばなんにでもなれる。 ってこと。」
ファイヤハート(偽)の周りを煙が包んだ。
そしてその煙が流れると、そこには吉祥が座っていた。
「あくまで僕が化けているときはその猫になりきってるから、名前は(偽)で区別します。読者のみなさん分かりにくくてごめんなさい。 でもネタの都合上(偽)を抜く時も有りかもね?」
「…誰に向かって話してるの? そっちには岩壁しかないよ?」
「気にしちゃダメだからね。ウラの事はかかわらない方がいいよ。 面倒だから。 そんなことより、この後は何をするんだい?」
「・・・。 えっと、グルーミングをしてからみんな眠りにつくと思うよ。 夜間パトロール部隊を除いてね。」
「夜間パトロールとは熱心な。 おつかれさまですなぁ。」
「夜に他の部族が攻め込んでくることもあるからね。」
ファイヤハートはおおよそ独り言のつもりだった。
しかし吉祥もその独り言につぶやきを返した。
「…可哀想だよ。」
「えっ?」
何のことかと吉祥を見る。
「いや。 なんでもない。」
吉祥は空を見上げていたが、ファイヤハートに視線を戻して言った。
「ところで、僕はどこで寝ればいいと思う?」
吉祥は、いつかイエローファングが捕虜として捕えられていた時の場所で寝泊まりすることになった。
吉祥は、キャンプの外でも木の上でもどこでもいい。 と言ったが、やはりブルースターやタイガークローは、吉祥が自分たちの目のつくところにいてほしかったようで、キャンプの中を勧めた。
ブルースターは、見習いに柔らかい草を運ぶように命令したが、吉祥は首を横に振った。
「地面で寝るから、地面が揺れる音や鼓動を聞き取れるんだよ。 何も敷かなくていいよ。」
とのことで、結果地面で眠ることになった。寝違えたりしないだろうか?
グレーストライプが鼻水で鼻を湿らせながら戦士部屋に戻ってきた。
「大丈夫?」
「風邪みたいだよ…。」
「そうか・・・。」
グレーストライプは鼻をすすり、ぼうっと壁を見つめていた。
「グレーストライプ?」
「・・・。」
返事が無い。
「おーい、グレーストライプ!」
「・・・ぇ? なんだい?」
「… 風邪がひどいみたいだよ。 早く寝なよ。」
「うん…。」
友達は丸くなり、すぐさま安らかな寝息を立てた。
ファイヤハートもその隣で丸くなり、ゆっくりと眠りに落ちた。
吉祥は、星空の下で、 独り言をつぶやいてから眠った。
『力より、金より、権力よりも、何よりも強いもの。 それは愛だ。』
吉祥は既に悟っていたのだった。
吉祥だって、気分次第ではキザになるんだからっw
別にグリフィンが羨ましかったわけじゃないんだもんっ///
と、ツンデレを演じるのはここまでにしておいてww
僕の方は、こんな感じでうだうだ続くと思います。
にしても・・・
最後のセリフ恥ずかしい///